こんなポンコツ推理あり!?
高校生のざくろは恋をしている。
お相手は隣に住む二階堂という推理作家だ。
二階堂はざくろが小さい頃、よく一緒に遊んでくれた。
そのときからざくろは二階堂にぞっこんなのだ。
だが、ざくろがいくら好き好きアピールをしても、二階堂は全く相手にしてくれない。
それどころかざくろの好意に気付いていない様子すらある。
推理作家で頭がキレるくせに、信じられないほどの鈍感男なのだ。
痺れを切らしたざくろは遠回しなアピールはやめて、直球で攻めることにした。
具体的に言うと、デートに誘ってみようと思ったのだ。
初めてのデートはやっぱり映画よねと思い、恋愛映画のチケットを二枚購入した。上映日時は今夜だ。
デートなので思い切りオシャレして、いざ、二階堂の家に向かう。
呼び鈴を鳴らすと、二階堂が出てきた。外出していなくて良かったと思いながら、チケットを見せる。
「二階堂。今夜暇?」
「予定がある。家で『近隣のトロロ』を見るのだ」
近隣のトロロとは、二階堂の大好きな映画だ。数え切れないほど観ているらしいが、何回観ても飽きないらしい。
「そんなのいつでも観れるでしょ」
「今日観たいんだ」
「ダメ。あたしを優先しなさい」
「君は本当に天上天下唯我独尊だね。……まあ、いいけど。それで、なんの映画なんだい?」
「今人気の恋愛映画なの。好きな人と観に行くと、ラブラブになれるんだって」
ちょっと直球でアピールし過ぎたかな? と思ったが、鈍感な二階堂にはちょうどいいだろうと思い直す。
二階堂は眼鏡をクイと持ち上げてなにか考え込んでいる様子だ。
「好きな人と観に行くと、ラブラブになれる映画……。そんな映画を、なんで僕と観たいんだろう……?」
あんたとラブラブになりたいからだよっ。本当鈍いんだからとイライラしていたら、二階堂がカッと目を見開いた。
「分かったぞ!」
「?」
二階堂は得意満面で話し始めた。
「まず、ざくろちゃんの格好から推理しよう。いつもはズボンなのに、今日はワンピースで妙に気合いが入っている」
「うん」
「次に、日にちだ。普通は上映の何日か前に誘うものなのに、君は当日上映するチケットを持ってきた」
「……」
思い立ったのが今日だから当日上映のチケットを購入したのだけど、変だったのだろうか?
「最後に、映画の内容! 確か好きな人と観に行くと、ラブラブになれる映画だったよね?」
「うん」
「これらの情報から導き出す答え。それは——」
二階堂はドヤ顔で、ざくろに向かってビシッと指を突き立てた。
「さてはざくろちゃん。今夜好きな男の子とデートする予定だったんだね? だけど直前でドタキャンされた! それで仕方なく僕を誘ったんだ!」
「……」
違う違う違う!
推理作家で頭がキレるはずなのに、なんで恋愛に関してはこんなにポンコツなのだろう……?
呆れて物も言えないざくろに、二階堂は得意げに微笑んだ。
「図星……だろう? 可哀想なざくろちゃん。だけど大丈夫だ。ドタキャンする男など、こっちから願い下げだ」
なにが図星なんだろう? 的外れ過ぎて笑えないんですけど……。
「二階堂……」
「無理して喋らなくていい! 傷心のざくろちゃんが気の毒だから、僕でよければ一緒に観に行ってあげよう」
「……」
本当にポンコツなんだから……。
でも、とりあえず二階堂を外に連れ出すことには成功した。
一緒に映画を観れるんならこっちのもんよ!
やったぁ、二階堂とデートできるなんて夢みたい。
「じゃあ行こう! 二階堂!」
「ああ」
こうしてざくろは二階堂と一緒に恋愛映画を観ることになった。
だが、好きな人と観に行くとラブラブになれると言うジンクスは迷信だったようで、観終わったあとも二階堂は相変わらずポンコツのままで、ざくろをモヤモヤさせたのであった。
ここまで読んでくださりありがとうございました。




