第十一章
「王よ。あと、十日もせずに地球人たちは、この王宮まで攻めてくるでしょう。どうか、今のうちにお逃げください」
だだっ広い王宮の間にて、王に筆頭の重臣がそう語りかける。後ろには、他の重臣たちも集まり、王の逃亡を手助けできるように集合していた。
城の外では、星の民衆たちによる大規模なデモが繰り返され、いつ革命が起きても不思議ではない状態だった。すでに民衆の怒りは爆発する寸前であり、それは嫌でも動かざるをえないことを示していた。
だが当事者である王の顔には、不服そうな表情がしっかりと貼り付いていた。
「……逃げたところでどうするのだ?仮に、何光年と移動しようと、我が星の科学技術とマホウなる存在を手に入れた奴らに捕まるのは目に見えている。」
「王よ! このままでは、奴らに王の身を渡すことになりかねません! 一刻も早くお逃げになってください!」
「ならん。この星の王として、それは許されぬ」
王に動く気は一切なかった。だが、重臣たちはそれでも諫めようとする。
「ですが」
「黙れ。この私がいつ策はもうないと言ったか?」
その言葉に、重臣たちは「まさか」と思いつつも、決して表には出さずに、声を紡いだ。
なぜだか、嫌な気がする。
「……と、もうされますと?」
「MEを使う」
最悪なことに、予感は当たった。
「っ!? 王よ。たしかに、それを使えば危機は脱せられますが、もう二度と我らは、いえ、どの銀河からも、天の川銀河は観測できなく可能性が高いです! 我らは今後一切、あの銀河にも干渉できなくなり、奴らに復讐することもできなくなるかもしれませんぞ!?」
「それが何だ! ムーナの民が滅ぶよりは幾分もマシだ! 拒否権などない! 今すぐにでも、かの兵器を使え!」
王は完全に覚悟を決めていた。もう選択の余地なんてものはない。失うわずかな価値よりも、確かな安全の未来を、彼は望んでいた。
流石に重臣たちも、これほどまでに決意を固めた王に、反対の意を唱えることはできなかった。
その日、ムーナ星人の王は王命を発し、強制的に最後の手段にすべてを託すこととなった。
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