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原石の軌跡――新しき力と古の知恵  作者: 永火
第1章 始まりの終わり
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厄災級――

厄災級――昔の魔法少女の先輩が討伐した存在。


巨大な姿の“それ”が、軋むような音を震わせ、魔法の術式の中から現れた。


あれは、封印の魔法だったのだろうか。


高濃度の魔力の影響か、空気が粘つくように重い。


『白金――着まで、――10分!』


オペレーターからの報告が途切れ途切れに聞こえる。

10分、被害を逸らし続ける。


私たちが……?


出来るのだろうか。

いや――やらないといけない。


砂地に降り立ち、攻撃術式を展開する。

――展開完了と同時に即座に放つ。


無駄でもいい、効果がなくてもいい。


少しでも注意を引ければ、それでいい。


なぜ、魔法使いがここを崩壊させたのかは分からない。


でも、それのおかげで周りを気にしなくても大丈夫になっていた。


民間人は――もう“居ない”から。


――術式を展開して、放つ。

それを永遠と繰り返す。


澄玲先輩が言っていた、

被害を出さないように、建物とか人に当たらないように魔法を使う。


そんなことを考えることもなくただ、動かさないように注意を引き続ける。


私はまだ、運よく生きていた。


集まった魔法少女が今どれくらい残っているのか。


あと、どれくらい耐えればいいのか。


それすらも分からない。


足は震えている。すぐ近くに居た名前も知らない魔法少女は、

だいぶ前から倒れて動かない。


景色の色は消え、音は消えていた。


ただ、魔法を放つ。


守るために。



ふと、頭上を二つの影が、淡い魔力を残して通り過ぎる。

その残滓が、焦げた空気の中で月光のように揺らめく。


「あいつら、封印が解けるなら、解けるって言えばいいものを……」


「封理派のことです。この程度問題ではないのでしょう。」


還暦を迎えたばかりの様な女性と青年。

青年の方は知っている――強魔級の時、助けてくれた魔法使い、時雨だ。


「時雨さん……」

思わず声を掛けようとする。


「ん?なんだい小娘。」

低く、乾いた声が爆ぜる魔力の中でかき消えた。


「うちの時雨に何か用かい?」

女性が鋭い眼光をこちらに向ける。


「いつから貴女の物になったんですか……」

時雨さんが苦笑を浮かべ、軽く言葉を紡ぐ。


「そんなことは、どうでもいいんだよ。

厄災級ねぇ……、試させて貰おうか。」


女性の周りに魔法術式が幾重にも展開される。

それは、円ではなく歪な多角形を重ね合わせていた。


「幻理さん、あなたは研究が本分でしょうに……実戦は苦手だったのでは?

まぁ、サポートは、お願いします。」

「君にもサポートを頼むよ、周りの子達と一緒にね。」

時雨さんが、そうつぶやくと、綺麗な円形の小さな魔法術式が幾重にも展開されていく。


どちらも、淡い光を放つ魔法術式なのに。


私には、”朝日のように輝いて”見えた。

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