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原石の軌跡――新しき力と古の知恵  作者: 永火
第3章 魔法大戦
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式神

日が長くなり、外へ出るのも一苦労な暑さとなっている頃。

時雨さんと幻理さんに呼ばれ、古びた図書館の最奥へと向かう。


見慣れた魔力が流れている。そこに見慣れない魔力を視た気がした。

薄く弱い魔力。魔法少女でも魔法使いの魔力でもない不思議な光景。


「幻理さん、時雨さんお久しぶりです。」


「あぁ、久しぶり。ふむ、成長したな。」

時雨さんが見通すようにこちらを覗く。

身長はもう伸びていない。たぶん、魔法使いとしての成長を見られている。


「だいぶ魔力が馴染んでいるみたいだね。もう魔法少女とは別物だねぇ。」

茶化すように幻理さんもこちらを覗く。二人の目の前には前衛的なオブジェがそびえ立っている。


「あの……その、盆……栽?みたいな塊って何ですか?」


「ん?あぁ、何ってただのジェンガだよ。」


ジェンガが途中で枝分かれしている。どう見ても安定構造じゃない。


「面白いだろう?バランスさえ取れれば、多少無理な形にも出来る。」


……物理法則無視してませんかね。


「よく見てみろ。魔力で多少補強しているだけだ。まぁ、小突けばすぐに崩れるだろうがな。」


時雨さんがジェンガを小突き、積み上げたものが軽い音を立てながら、崩れる。


「まぁ、ジェンガの事はどうでもいい。詩織、今日呼んだ理由はね、

これを見といてほしいからだよ。」


幻理さんが、薄く魔力を纏った和紙のような物を見せてくれる。

人型に形作られたそれは、何かから逃れようとするように、微かに震えている。


「これは、陰陽寮の連中が使っている式神。近くを飛んでいたから捕まえといたんだよ。」


「これ単体では脅威にすらならないし、精々位置が知られる程度しかできないんだよ。」


幻理さんが弄ぶように式神をくるくる回す。

もがく様に、掌から式神が飛び立とうとするたびに引き戻されている。


「位置が知られるって……ここの存在が知られて大丈夫なんですか?」


「幻影を見ているから、今頃術師は船酔いでもしているんじゃないかねぇ。」


濃い魔力が、廊下の空気を押し曲げてくる。凝子さんの魔力だ。

扉の蝶番が悲鳴を立てながら開け放たれる。


「ここは図書館だよ。……一応、静かにしようか。出来ないなら帰りな、バカ弟子。」


「いやいや、師匠が呼んだんじゃないですか。……帰りませんよ?

ん?それって式神ですか?また珍しい物を作りましたね。」


「まぁ、現状と一緒に説明してあげるから、急かすんじゃないよ。」


幻理さんが、皆に見えるように式神を宙に固定する。

震えが止まり、文様が怪しく光る。

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