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原石の軌跡――新しき力と古の知恵  作者: 永火
第3章 魔法大戦
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自分だけの魔法を

活動拠点のホテルの一室。

机の上には魔法陣の描かれた紙が、幾重にも散らばる。

先の戦闘で見た魔法陣を解析しながら、時雨さんと通話している。


『魔法少女と戦闘になった……か。

前よりも汎用術式が進化していたと言ったな。』


「はい、多少魔力効率が良くなったみたいですね。」


魔法少女側の魔法陣は、以前よりは洗練されている。

意味を持たない装飾や冗長な分岐が多い。削れば、まだ良くなる。

それでも、意味を知らない魔法少女からすれば進歩している方だ。


『それで?戻らなくてよかったのか?』


「戻る?今更ですか。

確かに魔法少女に未練はあります。それでも、みんなを守るための力は、

あそこに居たら手に入らない。」


魔法少女のままでは、特別になれない。

前までなら、なる気はなかった。

でも、手の届きそうなところに、

”特別《魔法使い》”が現れてしまった。


『……力だけが、全てではない。

まぁ、言ったところで変わらんだろうがな。』


『まぁ、そのまま、実戦で経験を積んでいけ。

魔法術式の改良も、戦っていくうちに、どうしたいか理解していく。』


魔法少女の術式から、使える部分だけを抜き取り、

自分の魔法術式へ組み込んでいく。


魔力消費を抑え、より早く。

遅ければ、助けるのに間に合わない。


守るために。

次に、間に合わなかった誰かのために。

あの時の、私のように。


備え付けのポットから、湯を魔法で取り出し、紅茶を作り上げる。


「これ以上削ると、弱くなりすぎる。

でも、増やせば遅くなる……どうすれば。」


『なら新しく”魔法”を創ればいい。創られたことはないが、

出来るはずだ。やってみる価値はある。』


”魔法”を創る……。

確かに、既存の物が足りないのならば、創ればいい。


展開が遅いなら、初めから展開させていればいい。

手数が足りないなら、無数の杖を配置すればいい。

――その発想が、ふと引っかかった。


淹れた紅茶の香りが、ふわりと鼻を抜ける。


「杖……、魔法使いって杖とか使うんですか?」

ふとした疑問、今まで見た魔法使いは杖とか、物語で見るような触媒を使っている人を

見たことが無かった。


『ん?使うぞ。まぁ、使わなくても魔法を出せるから使ってない方が多いがな。』


『それと、杖は指向性が分かりやすい。それに、何時魔法が出るかも読まれやすい。

ちょっと前は指輪やネックレスに触媒を埋め込むのが流行ったな。』


「指輪やネックレス……。あ、そういえば幻理さんや凝子さんも身に着けてましたね。」

確かにみんな、装飾品を付けていることが多かった気がする。


「時雨さんは、持ってないんですか?」


『前は長杖を使っていたんだが、現代じゃ持っていたら周囲から浮くだろう?

それに、使わなくても戦えるからな。』


時雨さんが、何かを思いついたように立ち上がる音が聞こえた。


『ふむ。いい機会だ、作ってみるか?杖を。』

時雨の長杖

身の丈以上の長さを誇る杖。実戦で使われる機会が無くなって久しい。

現在は、自宅の壁に掛けられ、薬草の乾燥用の干し竿代わりに使われている。

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