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原石の軌跡――新しき力と古の知恵  作者: 永火
第3章 魔法大戦
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遭遇戦

季節が廻り、紅葉へと移り行く頃。

町を散歩している時に、魔力の渦を見つける。

魔物の発生予兆、見慣れた光景。


見つけ次第、潰しに行く。

それは、前から何も変わらない日常だった。


少なくとも、表向きは。


魔法少女として街を巡回していた頃を思えば、

無駄な動きは減った。

無駄な魔力も、使わなくなった。


戦い方が変わった、というより――

「削られるもの」が、最初から計算に入るようになった。


一撃で終わらせる。

長引かせない。

見られないように、痕跡を残さない。


それは効率化だったが、同時に、

“人目を避ける戦い”でもあった。


魔力が視える。

魔法少女が使う飛行術式、その力任せの魔力が。


「詩織さん……?」


駆けつけてきた魔法少女に、名前を呼ばれる。

薄く魔力を纏う、もしかしたら戦うことになるかもしれない。


「もしかして、私の無力化も任務だったりする?」

質問には答えない。でも情報は欲しい。


「……まだです。でも魔法少女としての登録は、消されています。」

なるほど、魔災庁からしたらもう私は、魔法使いとして見られているみたい。

そして、魔物を討伐したことも分かっているはず。


「じゃぁ、もう討伐対象かな?」

目の前の子が、手を握りしめ口を固く結ぶ。

決断が出来ていない。判断が出来ていない。

まだ私を、味方と思いたい。そんな感情が渦巻いているように見える。


「私は……戦いたくありません……」

強魔級を初めて相手したあの時の私みたいに、震えている。

人との殺し合いなんて、やったことないだろうし。

そもそも、今までなら必要なかった覚悟。


「でも、戦わないといけないでしょ?目の前にはテロリストの仲間がいるんだよ?

魔法少女なら、戦わないと。」


私だって、殺したくはない。

けれども、そちらには居られない。

皆を守りたい。そのための力は、魔法少女では手に入らないから。


目の前の魔法少女と向き合う。

私の覚悟は決まった。


「……で、どうしたい?戦う?

私としては、見逃してほしいんだけど。」


「戦います。

私たちの任務は、魔物退治と

魔法使いの捕縛……ですから。」


「そう……」

一拍置いて、息を吐く。


「じゃあ、痛いだろうけど、

殺さないようにするから。」

攻撃術式を展開し、

致命傷にならない部位へ放つ。


相手の障壁が展開される。

だけど、魔法少女の障壁じゃ、脆すぎる。


「……っ!」

崩れる障壁を見て、苦い顔を浮かべる。

反応が、完全に遅れていた。


「汎用術式、穿て!」

魔法少女の攻撃術式が放たれる。


今見ると、魔力の流れが粗い。


一応、障壁を張る。

“花”がこちらを向くような形。

傾斜が付き、逸らしやすい。

破損しても、修復が容易だ。


魔法弾が、障壁に沿って逸れる。

誘導も、貫通もない。

ただの弾道。


「……こんなものか。

鉄級……いや、銀。

私が居た頃よりは、術式も改良されてる。

それでも――」


相手を見据え、攻撃術式複数展開。


「豆鉄砲には、変わりないか。」


複数の弾道が、相手の障壁の外からうねる様にねじ込まれる。

関節と筋、太い動脈は避け、腕と足だけをちぎれないように的確に撃ち抜く。


「いっ――」

相手の声にならない悲鳴が聞こえる。

少しだけ、胸が痛んだ。それでも、必要だった。


周りの魔力が増えてくる。増援の魔法少女が来るみたいだ。

さすがに、多数相手では、割に合わない。


「救援が来るみたいだよ。

だから安心して、処置が間に合えばまた、みんなを守れるようになるから。」


それだけを言い残し、建物の間を縫うように、飛び去っていく。


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