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原石の軌跡――新しき力と古の知恵  作者: 永火
第3章 魔法大戦
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束の間

雪が降る頃。


あのニュースから、しばらくたった。

魔法少女が、魔法使いを捕縛すると言われたが、

捕縛されたという話も、戦闘があったとも聞こえてこない。


静かすぎる、とすら思えた。


「ん? あぁ、魔法少女との戦闘を聞かない理由か。」

時雨さんは、まるで当然のことのように言った。


「簡単な話だ。

魔法少女が、魔法使いを見分けられるわけがない。」


「そもそもだ。」

時雨さんは、少しだけ言葉を選ぶように続けた。


「魔力を“視ている”自覚がある魔法少女自体が少ない。

魔法使いについても、詳しく知っているわけじゃないだろう。」


一拍、間を置く。


「そんな状態で探せと言われてもな。

魔力の中から、光だけを見つけ出せと言っているようなものだ。」


時雨さんが、少し悩むように空を仰ぐ。


「ただ、民の不安が、もう目に見える形で広がっている。」

時雨さんは、視線を戻さないまま続けた。


「魔法使いは悪だ。

そう思わせるには、十分すぎる材料が揃っている。

町を崩してしまったのを見られているしな。」


悩ましいように、寂しそうにため息が漏れている。


「このままじゃ、魔女狩りが始まるぞ。」


「魔女狩りですか……?」

中世の魔女裁判の事だろうか。

罪をでっちあげ、恐怖で人を裁く――

教科書で読んだ、遠い昔の話。


時雨さんは視線を落としたまま、低く言う。

「疑わしきは罰せよ。我に正義在り、だ。

昔から――正義ほど、恐ろしい猛毒はない。」


「俺たちが、魔法使いが正義の味方でないことも、効いてるな。

裁かれるだけのことをやらかしてる。たとえ、守るためだったとしても。」


部屋の中央、机の上に青白い炎が踊る。

やがてデフォルメされた鳥の頭の形へと変わる。


「やーやー、どうもですわ。時雨さん、います?

頼まれてた情報なんですけどね、まあ……それなりには集まりました。」


鳥の口が、パクパクと動く。


「もうすでに、民間人が何人も私刑に遭っとるらしいですよ。

まあ、今はまだお国のほうで上手いこと揉み消しとるみたいですけど。

時間の問題で、国中に広がりそうですねぇ。」


「まあ、また何かあったら……そのうち連絡しますわ。」


その言葉だけを残し、炎が掻き消える。


時雨さんのため息が、静かに響く。

「始まったな。もう、動いている。」


「今の……何ですか?」


「魔法使いの情報屋だよ、対価さえ払えば情報を仕入れてくれる。

……最近、胡散臭い喋り方を覚えたようだがな。」


「で?どうする……

詩織は向こうか?それともこちらか?」


少し、期待と諦めの混じった声が静かに、染み渡る。


「どちらに進んでも、地獄を見るぞ。」



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