交わる軌跡
人物名出すの難しくない・・・?
声が――聞こえた。
助けを求める、微かな声。
空気を震わせることなく、意識の奥底を揺らす響き。
理へと帰るはずだった魔力の声が、まだ世界に留まっている。
淡く虹色に揺らめき、視界の端で滲む。
まるで光そのものが迷っているかのようだ。
本来なら魔力は青に変じ、静かに還る。
だが、これは違う。
まだ、この世界を離れていない。
「……助けを、求めている」
胸の奥で何かが脈打つ。
助けなければならない――それが、魔法使いとしての信条。
目を閉じると、淡い虹の残光が方角を示す。
北東――陽光の下、かすかな魔力の筋が漂っている。
光に溶けそうで、それでも確かに存在する。
風が頬を撫で、土の匂いが混じる。
街を抜けるほどに、魔力の波が強くなっていく。
痛いほどの振動――まだ誰かが抗っている証だ。
焦げた風、崩れた建物の影、そして淡く瞬く虹の粒。
「帰るには、まだ早い」
口元で小さく詠唱する――略式、一語の呪文。
「翔――」
足元に淡い色の魔法陣がふわりと浮かぶ。
陽光に照らされて線が黄金色に輝き、微かな風の渦を巻き起こす。
陣の上に立てば、地面を踏まずとも体が軽く持ち上がる。
空気を蹴るごとに陣が微かに揺れ、推進力を与える。
砂塵が足元で舞い、虹色の残光が後方に流れる――まるで自分ごと世界を切り裂くかのように、前方へ滑り出した。
微かに黒煙が視界に入る。
まだ戦っている者の魔力が、わずかに揺らいで見える。
少しの安堵と焦燥感が胸を掠める。
我々が使う飛行魔法は遅い。
魔法少女たちが使うものよりも――速くはない。
ならば――と。
「時流……Ⅱ!」
体が加速する。
鼓動が早まる。間に合えばいい。
多少のリスクは、飲み込むしかない。
汎用攻撃術式を展開・待機させる。
今分かっているのは、強魔級がいることだけ。
油断はできない。
だが、それくらいなら、一人でも――勝てる。
視界に捉えた。
人型の強魔級と、少女が一人。
まだ戦ってはいるが、効果は薄い。
魔力も残り少なそうだ。
防御もまともにできていない。
こんな少女が、戦場にいる――。
少し手こずるかもしれない、と考える。
数拍の遅れと共に到着する。
すぐさま少女を守るように防御術式を展開。
待機させていた汎用攻撃術式を、瞬時に放つ。
数本の光の筋が、魔物に――中る。
効果あり、ただし決定打には至らない。
魔物が腕を振るい反撃する前に、矢継ぎ早に汎用攻撃術式を展開し、順次放つ。
防御術式が弾く衝撃と、魔物のうめき声が入り混じる。
「あなたは……」
振り返らず、状況を確認しながら答える。
「”守ってほしい”と託された。」
少しの間を置き、続ける。
「理の探究者だ」
魔物の周りの砂煙が晴れた直後
魔物が吶喊してくるが、防御術式に阻まれる。
しかし数度殴られたところからひび割れ嫌な音を上げる
「汎用攻撃術式――断ち切れ」
割れ侵入してきた魔物の腕を断ち切る。
魔力を体に這わせ身体強化を行使する。
「汎用攻撃術式――貫き通せ」
続けて術式を拳にのせ胴体、魔力の中心を貫く。
沈黙
魔物の魔力反応の消失
辺りに漂う淀んだ魔力も晴れ静寂が戻る。
「巡り巡りて、理へと帰らん」
小さく祈りを捧げる。
「俺は戻る、お前は早く帰って治療をしてもらえ」
そう言い残し飛行術式を手早く展開させる。
「あ、あの!……名前を教えてくれませんか……」
背後から声が聞こえる。
「結城 時雨」
それだけを言い残し、飛行術式の淡い残光を残し飛び去る。
微かに残る戦いの魔力が、一瞬町を漂い消えた。
時流
結城時雨が使う固有魔法。
時間の流れを一時的に操作し、身体能力を大幅に引き上げる。
強い負荷を伴うが、彼はそれを完全に制御している。
汎用魔法術式
魔法使いが日常的に使用する基礎魔法体系。
同名の「汎用術式」を使う魔法少女のものとは構造が異なり、
より論理的・理術的な側面を持つ。




