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嗅ぎつけるは天災

縄でぐるぐる巻きにされ、柱に縛り付けられた凝子さんは、まるで背景の一部のようだった。


猿轡越しに「んむーっ」と抗議の声が響くが、

あの人のテンションを知ってしまうと、今ぐらいの拘束がちょうどいいのかもしれない。


幻理さんはいつもの冷静さで、目だけが鋭く光っていた。

「さて、時雨、連れてきたってことは、もう”外”で通用するレベルにはなったんだろうね?」

その視線が刺さる。軽く息をのみそうになる。


時雨さんは肩をすくめ、緩く笑った。


「一応、(はし)ぐらいの実力にはなってきたかと

少し特訓すれば、戦闘特化の魔法使いとして開花すると思いますよ。」


幻理さんの眉が僅かに動く。興味と計算の混ざった、独特の反応。


「ほう。戦闘特化ね。

小娘、お前は戦うのが好きな手合いじゃないと思っていたが。」


図星だった。私は戦うのが嫌いではないが、好きでもない。

本当は――ただ、誰かを助けたい。それだけ。


時雨さんが代わりに答えるように、横で静かに言葉を継いだ。


「詩織は戦いそのものを楽しむタイプではありません。

ですが、助けるには力がいると理解している。

だからこそ、伸びますよ。こういう子は。」


「そうかい、研究をしたかったら私の助手にしたかったんだけどねぇ。」

からかい半分、欲半分。どちらか判断がつかない声色だった。


凝子さんが突然「ぐぎっ」と顎を動かし、猿轡を文字通り噛み砕いた。

縄で固定されているはずの身体がきゅっと軋む。拘束されていても、彼女だけ世界を鋭く感じ取っている。


「近くの魔力の匂いが変わりましたね。」

凝子さんは息を吸い込むように言う。目が先ほどのドタバタとは別物の静けさを宿している。


魔力の匂い……?何を言っているんだろう、凝子さんは。


「んー、脅威級……いや、強魔級ですかねぇ。」

凝子さんがさらりと言い放つ。


「凝子、距離はどれくらいだい?」

幻理さんが時雨さんとアイコンタクトをしながら質問をする。


「ん-?近くて2キロほどかと。」


「近いな。幻理、俺と詩織で叩く。問題ないか?」


幻理さんが少し考え、凝子さんを見る。

「行ってきな。ただし、主役は詩織だ。お前は補助だけに専念しなさい。そして、バカ弟子、お前は待機だ。」


頷く時雨さんと、絶望的な顔をする凝子さん。


古びた図書館から飛び出し、私と時雨さんは飛行魔法を略式展開させる。


「「翔」」


「よし、久しぶりの実戦と行こうか――詩織。」

魔力の探知方法


魔法使いと魔法少女は、魔力を”視て”いる。

しかし、極まれに”魔力の匂い”を嗅ぎ取る者たちが生まれる。

視ることは出来ず、嗅ぐだけ。

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