第2章
そうして私は、お便りの送り主に手紙を書くことにした。
拝啓 仲町新 様
お元気ですか。
先日はお便りを送って頂き、ありがとうございます。
私も突然のことで驚いていますが、どうしても話したいことがあったので手紙を書かせて頂きました。
単刀直入で申し訳ないのですが、話したいことが沢山あるので、今度会うことはできないでしょうか。
お返事お待ちしています。 塩部美咲
「人違いだったらどうしよう」と一瞬不安になったが、新だと信じて手紙を送った。
-新に届きますように-
数日後、一通の手紙が私の元へ届いた。
拝啓 塩部美咲 様
お元気でしたか。
私は今、東京の会社で働いています。
お手紙ありがとうございます。
まさかこのような形で再会できるとは思わず、僕も驚きを隠せていません。
来週の日曜日は空いていますでしょうか?
もし宜しければ、渋谷の中央公園でお会いしましょう。
仲町新
手紙を読んだ後、自分でも気持ちが高まるのが分かった。
ずっと会いたいと思っていた新と、やっと…
「新にまた会いたい」と思ってパーソナリティになった、私の願いがようやく叶う。
私はこれまで無い喜びを胸に抱き、眠れない夜を明かした。
そして日曜日
待ち合わせ場所に着くと、そこには新がいた。
見た目こそかなり変わっていたものの、特徴的な目元や雰囲気はそのままだった。
「あの…新、だよね?」
「その声は、美咲?」
緊張気味だった2人の顔が一気にほぐれ…
「やっぱり!!」
と2人の声が揃う。
「美咲、俺は美咲とまた会えるって、ずっと信じていた。」
「私も。だから私、パーソナリティになったの。新とまた会うために…」
「本当か?」
「うん。だから私、凄く嬉しい!! 夢が叶って。」
「俺も同じ。美咲との約束を果たせて、本当に良かった。ところで、美咲はどこに行きたい?」
「そうだね。ショッピングとかかな? 私この店のこの服が…」
そうして楽しいひと時は、あっという間に過ぎた。
「今日は美咲と会えて本当に嬉しかった。」
「私も。」
「それじゃあ…」
「あっ!待って!!」
「え?」と言わんばかりの表情で、新が振り向く。
「その…私、ずっと…新のことが…」
「美咲…」
「だから…その、私と…私と」
キキーーーーーッ
「美咲、危ない!!」
「え?」
ドンッと鈍い音がして、私は反射的に目を閉じる。
「一体何が…ヒッ!!」
しばらくして目を開けると、そこに飛び込んできたのは、血を流して倒れる新の姿だった。