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第1章

「ねぇ、新。」

満天の星々を見上げながら、私は語りかける。


「私たち、また会えるよね?」


「ああ、俺たちはきっとまた会えるよ。」

新は迷いなく頷く。


「約束だ、美咲。」




「さーん、美咲さーん!!」


目が覚めると、真っ白な天井が視界に入る。


「大丈夫ですか?」


「すみません、つい寝ちゃってて…」


「放送、あと少しで始まりますよ。」


「あ、はい!」


初番組だというのに、直前まで寝ているとは…


「我ながら呆れるな」と自嘲気味に笑みを浮かべ、スタジオへと入る。


「美咲さん入られまーす!!」


「本日からパーソナリティを務めさせて頂きます、塩部美咲しおべみさきです。初めての単独番組で何かとご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします。」



「それでは放送入りまーす。3、2、1!!」


「皆さんこんにちはー。本日から始まりました新番組、『美咲のMake You Smiles』。パーソナリティを務めさせて頂きます、塩部美咲です。この番組では…」


そうして2時間が経った頃…


「ここからはお便りを読んでいきたいと思います。ラジオネーム『シューティングスターズ』さんから。『美咲さん初めまして。単独デビューおめでとうございます。この前、近所でとても綺麗な星を見かけました。そこで質問なのですが、美咲さんが今まで見た星の中で、特に綺麗だなと思ったものはありますか?』とのことです。」


お便りを読んだ瞬間、あの時の記憶が蘇る。


「ありがとうございます!そうですね。私が見た中だと、中学生の時に幼馴染の彼と見た星が記憶に残っていますね。その後に彼転校してしまって、今は離れ離れになってしまったんですけどね笑」


私が話すと、次々と「その彼と今も会ったりするのですか?」などのお便りが届く。


「当時は中学生だったので、二人とも連絡を取る手段もなくて、彼が転校したあとは一度も会っていません。なんか、期待外れの回答でしたかね?笑 でも、私はそこまで悲しくないです。何故なら、彼と『また会える』と約束したので。きっと、彼も同じ事を想っているはずです。」


スタジオがなんとも言えない空気に包まれる。


「あ、ごめんなさい笑 気を取り直して次のお便りです…」


そうして3時間の生放送が終わった。


「美咲さん」


帰り際、ディレクターの1人に声をかけられた。


「すみません、その…今日の話って…」


「ビックリしますよね笑 でも、本当の話です。収録では悲しく思っていないなんて強気なこと言いましたけど、本当は凄く悲しかったです。彼と別れた後、子供ながらに大切な人を失ったような気分になったのを鮮明に覚えています。でも、彼の言葉があったから、私は前を向けている。それは事実です。それでは…」


「あの、美咲さん!!

もしかしたら、その彼も美咲さんのラジオを聴いているかもしれませんよ。」


「え?!」


「今日のお便りの中に、こんなものが…」


そこには『もしかして、美咲?』と書いたものがあった。


「さすがに放送では話せないかと思って除外したのですが、もしかしてこれって…」


「新…」

一筋の涙が零れる。


-新-

優しかった新。私が泣いていると、いつも励ましてくれたよね。そんな新を想うたびに、私…


「あの、ディレクターさん。その送り主に手紙を送る事って出来ますか?」


「ええ、出来ますが…」


「私…やっぱりもう一度、彼と会いたいです!!」

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