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思いがけないもの

修正中に付き錯乱しております。

 振り返って考えてみたが徒歩で家に帰っていただけでなんの何も変わったことはなかった。ただいつものだらけただけの僕だったはずだ。今日の僕が何かしてはいけないことをしたのでもなく、亀を助けたせいということでもない。考えごとをして少し落ち着いてきたところで部屋の脇にある宝箱を開けてみることにした。手で開ける気にはならなくて剣先でこじ開ける。鍵はかかっていないようだ。この部屋も薄暗いのでスマホのライトを頼りに開いた宝箱を覗き込むが何も入っていなかった。隣にあるもう一つを同じように剣先をねじ込むと、少し違和感があった。上蓋の部分が少し重いような気がしたけど強引に力を入れた。

 「うわっ!」

 差し込んだ剣先が押し返されて勝手に宝箱が動いたのだ。そして僕に飛びかかってきた。

 「ミミックもいるのかよ。」

 勘弁してくれ!

 僕が飛び退いたところをさらに飛びかかってくる。ぴょんぴょん飛び回るさまはカエルのようだけど、これはかわいくない。個人的見解だけど僕はアマガエルくらいならかわいいと思える。ヒキガエルとかはもう無理、ってカエルじゃなくてミミックに追いかけられるなんて思いもしなかった。異世界って怖い!部屋の中をぐるぐる回って、だんだん腹が立ってきた。少し距離をとったところで立ち止まってミミックが飛びかかってくるのを待って剣で斬りつけた。

 ミミックは斬った拍子に何かを吐き出してゾンビと同じように黒いシミになった。

 「ドロップアイテムか?」

 この世界に来て剣以外で初のアイテムだ。走り回ったせいでかなり疲れてしまったけどアイテムが出たことで少し気が晴れて嬉しくなった。役立つものがあればいいが。

 「これってただの袋かな?」

 巾着袋みたいなものが大小二つ落ちている。手に取ってみるが危険はなさそうだ。大きいほうは二十センチ幅くらいのもので、わりと軽い。袋を開き覗き込んでみるが中はよく見えない。手を入れると肘まですっぽり入った。見た目の大きさより奥行きがある?変な袋だ。

 「何か入っているかな?」

 そう言いながら手を回してみると何か硬い感触があった。触った拍子に掴んで取り出すと、それは丸みのある菱形をした石だった。

 「ただの石?」

 なんで石なんか入ってるんだ?スマホでその石を照らすと何かが描かれている。見たことのない紋様だ。じっと石を見ていると、何か声のようなものが聴こえた気がした。ゾッとして驚きのあまり石を落としてしまう。

 「いまの何?」

 要領を得ず、固まったまま目だけで周囲を探る。

  「ゾンビが隠れているわけじゃないよな?」

 振り返ってもみるが何もない。足元を照らすと落とした石があった。

 「割れなくてよかった。」

 ほっと一息ついてもう一つの小さな袋にも手を入れる。こちらは普通の袋のようで手首ほどしか入らない。小さな金属の輪っかのようなものがいくつか入っているようで、カチャカチャ鳴った。取り出してみれば、十個もの指輪と首飾りが入っていたのだった。指輪といえばRPGでは定番の補助アイテムだろう。様々な効果をダンジョンやイベントごとに使い分けて装備するものだ。だけど現実世界での僕はこれまで興味なんて無かった。つける機会もなかったし。それでも今、手にとってみるとはめてみたくなるものだ。何故だかにやけてしまう。指輪のサイズが違っているようで指に入るものと入らないものがある。指にはまるものだけはめて眺めている。

 「これで魔法が使えたらいいな。」 

 物によっては装備するだけで専用の魔法が使えたりするものもあるはずだ。この中にそれがあるかはわからないが。

 指輪をはめた両手を見て僕には似合わないなって思った。少しばかり恥ずかしくなってきた。誰もいないことが今だけはありがたい。変な気分に浸って気が緩んでいた。

 『われを放り投げた挙句、無関心とはいい度胸だな。』

 ?????????

 気の緩みきった僕の頭の中に、ガサツな男の声がはっきりと声が聴こえて、文字通り飛び上がって「うわ〜〜」って叫んだ!


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