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街へ行こう

 迷宮の外は殺風景といえる荒野だった。

 150年前の戦場跡。


 剣士による歪んだ願いの生んだ惨状の名残りか、草木が少なく遥か遠くまで見渡せる。

 遠くに小高い丘があり、何やら人工物の瓦礫が山を造っているように見える。

 国破れて山河あり、みたいな風景だろう。


 僕が向かう街は反対方向だ。

 街へ向かう方角には森があり、街道が整備されているのだろう。轍のような跡が続いている。

 

 

 土地柄なのか地面は乾いていて固いように思う。雑草が少なく歩きやすいが作物は育ちにくいだろう。

 日本の風土とは明らかに違う。

 ここが異世界だと思い知らされた。

 

 僕のいた迷宮から森までは1kmくらいは離れている。

 この森を抜けた先に街があるという。

 



 森の中の街道を歩いていると、馬車とすれ違った。

 その馬車はゆっくりと進み、賑やかな雑談が聴こえていた。

 初めて人と会ったのに今はどうでもよかった。


 しばらく無言のまま歩く。

 

 アースラも何も言わない。

 


 しばらくそのまま歩くと、後ろからガラガラと大きな音が近づいてきた。

 振り返ると、馬車があっという間に近づいてくる。

 さっきの人たちだろうか。


 僕を通り越した馬車がすぐに止まって4人の男が飛び出てくる。

 僕は身構えて距離をとる。

 いつでも剣を抜けるよう、慎重に。


 『やめておけ』


 アースラが制止した。


 「まってくれ。争うつもりじゃないんだ。話しがしたい。」




4人組のハンター



 4人の男たちは腕試しのために迷宮へ向かった。腕試しと言っても浅い階層まで。

 馬車を使うことからすぐに引き返すのは明確で、あの迷宮へ行ってきたと話せば酒の肴くらいにはなる。

 酒を呑み、笑い話になるまでが目的と言える。


 それでもあの迷宮に入るのは一人前のハンターにとって度胸試しとなっている。


 今日、そんな彼らが迷宮について見たものは無惨に崩れ落ちた入り口の残骸だけ。

道中すれ違った者が何か知っているんじゃないかと急いで引き返してきたのである。

 



 「君もあれを見てきたのか?えらいことになったぞ。こんなのは産まれて初めてだ。」


 「俺たちは腕試しに来たんだ。それがこんなことになってるなんてよぉ」


「まるで誰かに攻略されたみたいにぺちゃんこになってて俺たちゃびっくりしてんだ。」


 「まさかこんな日が来るなんて思いもしないよな。」



 4人が一斉に話すもんだから僕は戸惑ってしまう。


 「君は何か見たか?おれたちゃそのまま引き返しちゃったから実はよく見てねぇんだ。」


 ぶわっはっは。と笑い出す。


 彼らの勢いにのまれて僕はタジタジだ。


 「これから急いで帰るところだ。街まで行くなら乗せていくぜ。」



 彼らの好意に甘えて馬車に乗せてもらい街まで同行する。


 その後も彼らは4人で盛り上がりお祭り騒ぎになっていた。



 日が暮れる前に街に着いた。

 馬車は大きな建物の裏手に入り、馬房なのだろうという小屋の前で停まった。

 


 「おれたちゃギルドへ行って報告する。マスターの目玉が飛び出すぞ。」


 「いや、口から火が出るぜ。」


 「いやいや、泡を吹くだろあの人。」


 「ああ。ぶっ倒れちまうかもな。」


 また、大笑いしている。彼らはずっと陽気だった。


 見知らぬ僕を見て彼らが何も思わないのが不思議だった。彼らからすれば年の離れた同業者くらいの認識だったのだろうか。

 

 彼らの後についてギルドと呼ばれた建物に入る。

 馬車を停めた小屋の前にある大きな建物がそれだった。


 4人は慣れた様子で奥へ進んでいくと、受け付けらしきカウンターにいる女性に手を挙げて挨拶していた。


 「マスター借りるぜ。」


 と言って女性のいるカウンターの裏側に消えていった。

四人組にも名前があるんですよ。きっと・・・

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