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狼族の村

少し報告しておきたい事があります。まずは二日間の投稿遅れについて謝罪します。その理由としては最近仕事の勤務時間の変動が激しく小説を書いている余裕がなくなりつつありました。そこで申し訳ないのですがこれまで毎日投稿をしてきましたが今は少し苦しくなっています。今後は二日に一話の投稿が基本となりますがどうかご理解ください。調子が良ければ二日続けての投稿日もあると思うので……。今後もこの作品の応援をよろしくお願いします。ここまで皆さんのお陰でこの作品を完結までもっていきたいと頑張れていますので。


 馬車に揺られて馬車移動可能な距離まで移動を終え、その後は徒歩で歩き続けるムゲン達だったが特に大きなハプニングが起きる事はなかった。せいぜい道中に弱小モンスターが時折出現する程度であった。だがついに第5支部へのルート上に存在する問題の狼族の集落へと到着した。


 辿り着いた村はぐるりと石造りの塀で囲まれており外部からの侵入を分かりやすく阻んでいた。そして唯一の出入り口と思われる正門には男女の狼族と思われる人物が立っていた。


 「おいそこで止まれお前達!! ここに一体何用で訪れた!!」


 門番を務めている男性の方がムゲン達の姿を確認するといきなり敵意剥き出しで怒鳴ってきた。


 「ここから先は俺たち狼族の村だ。余所者は今すぐに立ち去れ」


 「すまない、決して怪しい者じゃないんだ。ただこの村の中を少し通らせてほしいんだ。必要と言うならちゃんと通行料も支払う」


 揉め事を起こさぬようにムゲンが穏便に要求を持ちかけるが相手側は聞く耳を持たないと言った対応をしてくる。

 

 「ふざけるな。お前達のような余所者の人間をこの村に受け入れろと言うのか? 今すぐに俺達の視界から失せろ!!」


 「別に村の中を散策させてくれと言っている訳じゃない。この村を通過するルートが一番安全なんだ」


 「そんな事なんて私達には関係ないじゃない。あんた達余所者の事情なんて知らないわ」


 男性の方に引き続いて女性の門番も渋面を浮かべて明確な拒否反応を見せる。


 セシルから話には聞いていたが完全に余所者に対しては誰であろうと嫌悪感を抱いているらしい。まあ彼等は他の国から追いやられて迫害を受けた身、外部から訪れる相手など信用ならないのだろう。とは言えこちらも時間が限られている。ここで遠回りしようものならその間にミリアナがどんな目に遭わされるか分からない。遠回りしているその1日がもしかしたら取り返しのつかない致命的な遅延になりかねないのだ。


 どう説得しようか頭を捻っていると門番の男の方がムゲン達と一緒に居る1人の人物を見て驚きの顔を浮かべた。


 「お前……もしかして俺達と同じ狼族なんじゃないのか?」


 目を向けられたのは彼等と同じ狼族のウルフであった。

 もしかしたら同じ種族の自分ならば説得が出来るのではないかとウルフの方からここを通してもらえるように説得を試みようとする。だが彼女が口を開くよりも先に女性の方の門番が声を発する。


 「ふん…人間なんかと慣れ合っちゃって。このお気楽狼め……」


 「お、お気楽…?」


 「だってそうでしょう? 同じ種族と言っても人間と仲良くしているあなたは大方楽な人生を歩んで来たんでしょうね。私達と違って迫害も受けず差別の対象にもされず、さぞ楽しく障害の無いゆるい人生を歩んで来たのでしょうね」


 嫌味をたっぷりと含んで非難するかのような眼を向ける女性に対してウルフは委縮気味に縮こまる。だが彼女本人に代わってムゲン達は今の物言いには納得がいかず反論をした。


 「あんた達が一体彼女の何を知っている? 楽しく障害のない人生? 何も知らないあんた達が決めつけたような事を言わないで貰えるか?」


 「ちょ、ちょっと!」


 最初は物腰を柔らかくしていたムゲンだったがウルフの事を侮辱されれば流石に噛み付いてしまう。その様子に思わずホルンが止めに入ろうとするが立て続けにハルとソルも続いてウルフを庇うように言い返していく。


 「ウルフはあなた達と同じく人生の中でずっと苦しい思いをしていたんです。自分達だけが辛い経験をしたと思わない事です」


 「それに彼女の場合は自分の不遇を理由に他者を一方的に拒絶なんてしなかった。私達と一緒に居ることがその証明でもあり、私達からすればお前達は随分と心が狭く見えるぞ?」


 「ちょっと3人共あまり煽らないのね!?」


 仲間や恋人を貶されてムゲン達3人が怒りを感じるのは無理もないのだろう。だがそれでもここは穏便に済ませるべきだと思いセシルが割って入ろうとする。

 予想通り相手側の門番2人は怒りからか僅かに顔が赤くなって血が上っている。このままでは迂回して別ルートへと変更しなければならないかもしれないとセシルが考えていたその時であった――塀の向こう側にある村の中から大勢の悲鳴が聴こえてきたのは。


 「な、何だ!?」


 「村の中から悲鳴が!?」


 自分達が器量の小さいなどと言われ門番2人は実力行使でムゲン達を追い払おうとしようとした直前であった、村の内部から恐怖からくる悲鳴が響いてきたのは。

 自分達の村で何か異常事態が発生している事が分かった門番たちはムゲン達の相手を一旦保留して急いで村の中へと戻っていく。


 取り残されたムゲン達は互いに顔を見合わせて戸惑いの色を浮かべていた。


 「………行くか?」


 村の内部で何が起きているのは不明だがこのままここで待ち続けるのは得策ではない。何度も繰り返すが時間がないのだ。ミリアナの身の安全を考えるならば一歩でも前進しなければならない。

 まだ通行の許可は貰ってないがムゲン達は開かれた扉を通り抜けて村の中へと突入する。


 そして門を通り抜けムゲンの視界に入った人物は因縁ある〝あの男〟であった。



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― 新着の感想 ―
[一言] タイミングw よりによってムゲン達が通り抜けようというタイミングで来るわけですかぁ··· まぁでも、逆にコイツがここに来た=ミリアナはとりあえず無事···というか身体は傷物にはされてない、と…
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