幼馴染
幼馴染って関係は近くて遠い。
現に、俺の隣で無防備に鼾を掻いてる此の女は、其の例だと思う。
なぁ、知ってるか?
御前にとっては大人で遠い存在の俺でも、俺は、頭の中で御前に××をやってる妄想を、ほぼ毎日の様にしてるんだぜ? まぁそんな事、世間の目と理性という奴で、欲望を抑えてられるけど。
なぁ知ってるか?
俺は、御前の事、唯の幼馴染で御近所さんとは見ていない事。少女としてではなく、一人の女として、見ている事を。
「んぅ……良哉ぁ…」
「…っ」
触れられそうな距離に居るのに、手が出せない臆病な俺。いや、手を出した時点でアウトだ。俺としての人間性でも、其の後の杏子の未来も潰す事にもなり得るかもしれない。
幼馴染って関係は近くて遠い。
好きなのに、愛してるのに、「好き」って言えば家族とかに対する好きだよねとかではぐらかされ、近いからこそ、毎日合わせる顔だからこそ気まずい空気は作りたくなくて、想っていても告白はしないという暗黙のルール。
「ハァ…此れじゃあ、生殺しだなぁ……ッ」
早く、大人に成ってくれよ。早く大人に成って、他の男に恋して、そして、ソイツのもんになってくれ。
そうすれば、俺は諦めるから…。御前を好きでいる事、キッパリ諦めるから。だから早く、大人に成ってくれ。
――此の気持ちが、
もっと、大きくなる其の前に――
俺は顔をずらし、杏子が起きてない事を再度確認すると、其の額にそっと、唇を寄せた。
幼馴染
(壊れてしまう位なら、今の関係の儘で好い)
後書き
何か此れアウト…に近い気がするんですが、多分気のせいだよね?うん、気のせい気のせい…(-_-;)オイィィィ
初出【2012年4月19日】一部削除
良哉君❗️またまたアウトおおおおぉ!!!(←……。)