私だけを見てください
「良哉ぁ、大好きー」
「あーはいはい。俺も好きだよ杏子」
―――違うよ、良哉。私が言う「好き」は、貴方を男の人として見てるものだもん。
ねぇ、気付いて。私の気持ちに―――
杏子は、今日もベランダに出ると塀を伝って、隣部屋へと入る。愛しの良哉に会う為に。だが、今は其の行動を取った自分に対して後悔した。そう。丁度、良哉は見知らぬ女との最中だったのだ。
「……」
「出てけッ!!ガキの見るもんじゃねぇ!!」
ハッと我に返ると、そそくさと其の場を退散する。自室に入った瞬間、体の力が抜け其の場に腰を下ろす。さっき見てしまった光景を思い出し、顔が熱くなるのを感じた。
「ガキじゃ、ないもん…」
消え入りそうな声だった。子供特有の高い声。まだ成長途中の胸を一揉みし、吐きたくも無いのに出てくる溜息。大人と子供の境界線ともいえる自分の年齢が、酷く憎たらしい。
「早く、大人になりたいなぁ」言ってて虚しくなって、ベッドにダイブすると眠りに着いた。嫌な気持ちになった時は、其れが一番だ。
どれ位寝ていたのだろうか。日はとっくに沈み、部屋は月明かりに照らされている。ふと、体に重みを感じて顔だけ動かし重りの正体を確認する。
「…っ」
息を呑んだ。嘘?何で?頭の中でパニック状態になる。
多分、彼が掛けてくれただろう布団に嬉しさを感じる反面、布団越しとはいえ自分の胸の処に頭を乗せ眠っている良哉に、幾ら子供扱いしてるからってレディの体に無遠慮に触れられる事に対する怒りが湧き起こる。
「見ときなさいよ!」
「何時か、男共が振返る位のボンキュッボンになってやるんだから」
「其の時に『好きでした!』って言ったって、もう遅いんだから!!」
寝ている相手に何って事言ってんだと思いながらも、腹の底から言葉を吐出した事で、幾らかは充たされる何かがあって。つっかえていたモノが少しは取れる感覚がして、開きっぱなしだった口はやっと閉じる。
良哉が起きない様にそっと上体を起すとベッドから降り、彼の耳元に唇を寄せ「私だけを見ろ」と囁くと、忍び足で部屋を出た。
静まり返った室内に、一人の男の顔は此れでもかって位に真っ赤になっていた。
「……バーカ。もう、テメェだけしか見てねぇっつぅーの」
良哉は右手をジャンケンのパーにすると、「後、何年だ?」と呟きながら立てていた指を折り曲げ、溜息を一つ。
「俺、我慢出来んかなぁ…」
少女は知らない。想い人とは、もう両想いであった事なんて。
そして、男が毎日の様に葛藤してるだ、なんて。
後書き
はい、グダグダ感タップリですみませんんん!!(>_<)
何と無く最近、こういったロリータ(ヒロイン専用)男性×少女に萌えまして…((皆ぁ逃げてぇぇぇ!!此処に変な人が居るよぉぉぉ!!
初出【2012年3月20日】一部削除
という事で、、、良哉君❗️アウトおおおおぉ!!!(←⁉️)