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Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
自由な速さで。
91/369

91話

 翌日朝。


「……あれ? なんでいるの?」


 〈ソノラ〉の扉を開けたギャスパーが、目を丸くした。昨日のお願いをした手前、なんとなくお店が気になって早朝来てしまっていた。開いていないならそれでよかったのだが、普通にやっている。


 いつも通りに花の水揚げをしながら、朝ということもあり気怠そうなベアトリスが迎える。


「……ここはウチなもんで。いたら変? ていうか何か?」


 欠伸をしながら、背中を向けたまま返す。


 少し焦りながら、ギャスパーは昨日のことを思い返した。


「気になって来てみたら、じゃなくて。昨日頼んだでしょ、ほら、ピアノ。その代役。『新世界より』をピアノでって」


 あぁそれか、と変わらずベアトリスはハサミで花の茎を斜めに切る。


「その件なんだが、要求してきたのは『新世界より、をピアノで弾けて』『できれば女性で』『モンフェルナ学園に顔が利いて』『さらに実力があるといい』だったな」


 今、学園にはピアノを弾ける人物がいない。ということで、ニコルから連絡を受けていたギャスパーが頼んだことを、箇条書きで思い出した。


 うんうん、と頷き、ギャスパーは結論に持って行く。


「そうだよ、だからキミに依頼したのに。貸しイチで。だってキミは——」


「条件を満たせば誰でもいい、はずだ」


 その言葉を、パキンと小気味いい音をたてながらベアトリスが遮る。結果さえよければいいはず、と。


「そう、だけど……誰かいるの?」


 伺うようにギャスパーが問う。そんな人物、そうそういるわけがない。


 立ち上がりながらベアトリスは壁にかかった時計を確認した。


「まぁ」 


 そして、伸びをして体をほぐす。ずっと前傾姿勢だったから首が疲れた。


「今頃着いてるだろ」


 そう伝え、もう一度欠伸をした。

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