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Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
消えるように。
362/369

362話

 その悩む様。それを見てブランシュは『あぁ、やはりこの人も言い換えれば被害者なんだ』と情が湧く。結局、誰も彼もが。いや、あの人も香水という魔物に取り憑かれただけで。全てはたった数ミリリットルの香りのある液体に、弄ばれているだけ。


 でもそれも。美しい。曲も香りも。境目などない。それを知った。だからこそ。


「ブランシュ、っていい名前ですよね。白、潔白、自由。好きな名前なんですよ、私」


 唐突に話は変わる。どこか官能的に。清らかで甘い名前。溶かして人形のように。それが自分。


 もちろん、ニコルの理解はついていけない。


「だから、なにが言いたいの?」


 いつもなら、さっさと答えてくれるのに。焦らす、というよりは『気づいてほしい』。そんな意思さえも伝わってくるような。後回しの答え。


「香水について、もっと詳しい人だったら。すぐにわかったと思うんです。私の使用している香水、覚えていますか?」


 今日も使用している。一番ブランシュにとって身近なもの。身近、というか身そのもの。今までの本当にたくさんの香水を作ってきた。クラシックに関するもの以外にも、思いついただけ試して失敗したり。思い入れのあるものも多いが、これはそういうものではない。


 言うなれば彼女自身を表現している香り。


 もちろんニコルは覚えている。嗅いだ記憶も。だから間違いはない。


「たしか『光』。日本の『漢字』ってのにインスピレーションがどうとか。そのうちの一本、でしょ? 爺さんから教えてもらったし、香りも覚えてる。それくらいは」


 漢字、というのはそれ一文字に様々な意味が込められているらしい。色々な意味に捉えられるらしい。二文字になれば、お互いに補ったりとか。なんだか素敵だな、とは思う。自分達の感覚だと『A』は『A』でしかない。


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