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Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
消えるように。
355/369

355話

「なにを根拠に……と言いたいけど、それが一番ね。元々はピアノ独奏曲だから。プログラム的にも問題なさそう」


 それにはヴィズも賛同。なんとかなる。聴衆もヴァイオリンのことは知らないし。知っているのは自分達だけ。聴いてみたかったけど、独奏も素敵な曲だから。


 そしてある意味もうひとりの主役でもある人物。それがいないことにカルメンは気づく。


「というかサロメは。あの子もいない」


 調律。ピアノとピアニストにおいて非常に重要なポジションにある。望む音を二人三脚で作り上げる専門家。このピアノはアトリエが担当している。


 そしてサロメ・トトゥは。その中でも相当に稀有な耳と感性を持つ。気分屋で面倒なことには足を突っ込まない性格だが、腕は超一流。海外の著名なピアニストからも依頼があるほど。その人物が。いない。


「サロメは、調律が終わったら、帰っちゃった。『さすがあたしの調律。そんな簡単に狂うかっての』って言って」


 以前、ここで出会ったことをブリジットは笑って思い返す。その時から傍若無人、それでいて自信過剰。でもそんな自信を持ちたくなるのもわかるほど、心地よいユニゾンを生み出す。ショパンもきっと喜んでくれているはず。


 なんとも言えないが。本人がいいならヴィズとしても認めるしかないわけで。


「……全くなんて協調性のない人達……」


 などと苦言を呈しつつも、どこかブリジットの成長に満足感がある。以前であれば、もっとオドオドとした様子で本番に臨んでいたはず。いい意味で図太くなった、というか。


 ここにいる全員。あの子と関わった結果、プラスになる材料を受け取っていて。イリナなんか特に。元々実力はあったが、それを出しきれるようになった。ムラがなくなった。ベルとカルメンもよりピアノの深淵を覗き込むような。実技だけではなく、座学もしっかりと。


 そこで。思いついてしまった。

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