表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
消えるように。
354/369

354話

 とはいえ、ここで自分が抑えなければ本当にこの子達はやりかねない、とヴィズは認識している。コンヴァトとか、どうでもよくて。ただ、己の欲望を曝け出すエゴイスト。


「あなた達も。ところでブリジット」


 そして視線は鋭く、教会内を見やる。端から端まで見える範囲。くまなく。それでもやはり。


 言いたいことはブリジットにもわかっている。


「……うん」


「ブランシュは? まだ来てないの?」


 あの子のことだから誰よりも早く、それこそピアニストよりも早く来ていてもおかしくないはずなのに。疑問が浮かぶヴィズ。


 さらにどんどんと聴衆は集まってくる。ショパンだけのリサイタル。人気のある曲も多い。家族で。ひとりで。友人と、恋人と。様々な想いを胸に聴きに来ている人々。


 その中に。ブランシュ・カローはいない。


 うーん、と唸りつつもカルメンがその肩を持つ。


「大事な時に遅刻。寝坊するタイプ。でも、最悪アンコールだけでもいれば。走ってくれば体も準備できてるだろうし」


 急げば心拍数も上がって、緊張なのかなんなのかわかんなくなって、普段通りの演奏。これ。


 それはヴィズとしても考えていたことではあるが、当てはまらない気もする。


「……あの子はそういう感じじゃないけど」


「一応は連絡したんだろ? 返信は?」


 自身も携帯を取り出すイリナだが、着信もメッセージもない。そりゃそうか。なにかあってもまず、今日であれば自分にはこない。


 一応、ブリジットも確認してみる。が、同じく。


「……まだ、ない。どうしよう」


 ないものはないし、いないものはいない。カルメンがそういう時の対処法を伝授する。


「その場合はピアノだけで演奏するしかない、かな。困った。いや、困ってない。ブリジットなら大丈夫」


 もとはひとりだったんだし。というか、アンコールだけなんだし。なんだったら切り上げちゃえばいいし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ