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Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
消えるように。
353/369

353話

 すでに聴衆がそれなりに集まってきており、賑わい始めている。各々、好きな場所に座り、談笑しながら時を待つ。他の教会でも同じようにクラシックの演奏が行われているが、その中でもここを選んだ。それほどまでにモンフェルナという学校の名前は、一般にも通っている。


 正直寒い。いつも以上にカルメンの表情が動かない。


「ヴィズ、お母さんみたい。ホッカイロとかいっぱい持ってそう」


 するとヴィズはポケットに手を突っ込む。そして握る。


「何個か持ってるけど」


「持ってるのかよ」


 呆れたようにイリナ。たぶん明日も明後日も、終わるまで毎日持ち歩いているのだろう。自分以外にも気を使えるヤツ。


 このあと弾く予定のブリジットだが、すでにある程度は指を慣らしており、今すぐにでもいける気がしている。服装はそのまま制服。これが一番しっくりくる。


「うん、ありがと。大丈夫。弾いてれば、温かくなってくると思うし」


 控室にもアップライトだがピアノがある。ギリギリまで触れていられる。問題はない。アトリエの人からは、テンションの保ち方とか色々教わったし。


 柔らかなキャンドルに包まれる。ほのかに優しく香る。ここにいる人々。どことなく、それとなく幸せの純度が上がる。


 もうすぐ始まる。いい演奏になることはわかっている。それでもベルの気持ちは昂ってくる。


「なんだか私が緊張してきちゃった。ね、少し弾いてもいい?」


 フライングだけど。自分は四日目だけど。その日は特別に自分専用の調律を入れてもらうけども。やっぱ目の前にピアノがあるとそうなっちゃう。


 気持ちは若干ヴィズにもわかる。だが、それとこれとは別。


「やめなさい。もうすぐ始まるんだから」


「ベルがやるなら私も。負けらんない」


「お? 勝負すっか?」


 そこにカルメンとイリナも参戦する。結局は全員そういうこと。聴いてくれる人達がいて。そんな感じの雰囲気で。となると、好きなことは止められなくて。

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