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Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
消えるように。
350/369

350話

 その問いはまさに、香水の無限の可能性を表現している。思い浮かべる香りに近いものを作り出す。それがお菓子であろうと、この世に存在しない香りであろうと。同じ香水でも、使う人のフェロモンと混ざって全く違う香りのするものもある。


 そんな世界が。ブランシュの目指すもの。


「花も果物も、全部が全部それらの原料を直接使っている、というわけではないですよ。例えばプラムなんかも、バラ由来の香り成分である『ダマスコン』というものから抽出して、似せて作っているだけですから。だから香水は作るのに時間がかかるんです」


 その香りを作るために、他の香りから抽出することもよくある。さらにそこに混ぜる。新しい香りの創造。終わりがない。終わらない。終わらせてくれない。


 だがそれはニコルには少々重いものでしかなくて。


「はぁー、爺さんもすごいことやってんだ」


 という程度の感想。ちょちょいと混ぜて終わり、かと思ってたけど、新作を作る苦労がなんとなくわかってきた。


 お爺さん。ギャスパー・タルマ。その人物のことを考えると。ブランシュは。苦しい。


「……」


 まーた余計なこと考えてるな。ニコルは思考を読み取る。


「で、ラストノートは?」


 なのでさっさと次へ。最後。終えてゆっくり休もう。


「……『アップルウッド』。ウッド系の穏やかな香りで、クラシックを支える大樹のような存在。それがショパン……」


 クラシックと現代音楽の境目というのは、実はよくわかってはいない。なにをもって『クラシック』なのか。いつが『現代』なのか。人によって違う。百年もしたら、今の自分達の時代に生まれた曲も、クラシックになってしまうかもしれない。それでも。ブランシュにとって、土台となる人物であることに間違いはない。

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