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Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
消えるように。
343/369

343話

 しかし現在、それは別の場所に運び込まれているため、ここにはない。ピアノのレンタルも仕事の一環。調律や販売だけではなく、そういったことも行なっている。


「弾きたかった? 残念、今はツアーで持ってかれてるわ。ウチの大事な収入源だから、あれ」


 あまりそのピアノにいい思い出がないサロメ。このまま店に戻らず、レンタル専用で各地に行ってくれてもよろしくてよ? とさえ。


 ピアニストを目指す身のブリジットとしては、そういったあまり触れることのできないピアノにも興味がある。もし。もしもの話。プロとしてアメリカに行って。使用するピアノがそのメーカーだったら、とか。


「そう、なんだ……」


 だが、それだけではない。ここにあるメイソン&ハムリンは。とある人物が使用した、ということで気になっていた。だから。それもあって今日、訪ねてみたのもある。


 期待に応えられなかった。なんだか悪いことをしたような気もするルノーだが、こういう時も切り替えて。提案なんかしてみたりして。


「どれでも好きなピアノ、試弾してもいいよ」


 それ以外にも店内には珍しいピアノも多々ある。リサイタル前の気晴らしにもいいかもしれない。しかし、メイソン&ハムリンは販売しないでレンタルや展示用として今後もやっていく予定。そう考えたら、やはりあのピアノは宣伝効果があるのでは? と嬉しくもなる。今回使用しているのは新進気鋭の双子デュオ。


「プレイエルのアップライト、なんかいいんじゃない? それっぽいでしょ?」


 それならば、とサロメは一台のピアノをピックアップ。むしろ、ピアノというものの転換点に当たるフランスの老舗メーカー。


 主にプレイエルとエラールという二社をショパンは好んで使用していた、と伝えられている。構造が全く違うため、弾き心地も全く異なるこれら。繊細なタッチを必要とするが、僅かな違いを敏感に奏でてくれるプレイエル。体調が優れなくてもいい音を奏でてくれるエラール。

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