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Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
消えるように。
341/369

341話

「はぁ?」


 なに? なにごと? 怪訝そうにサロメは表情を歪める。


 香り。となるとルノーにはある程度の予想がつく。


「ブランシュさん、だね。そうか、音を香りにする才能。まだ続いているわけか」


 前々回がサン=サーンス。前回がシューマン。相変わらず何度説明されても理解できそうにないが、自然と受け入れ始めた自分にびっくり。もう、そういうものだと理解する。


 普通であれば事細かに説明するべきなんだとはブリジットも思うが、この人達なら話は早い。理解してもらえたと思うので。


「はい、そしてそれがこれ、なんだけど」


 と、再度右手を前へ。ほのかに香りが漂う。


 たしかに優しい落ち着くその芳香を吸い込みつつも、サロメは頭を振る。


「わかるわけないでしょ。あたしはピアノをいじるだけ。それ以外はフツーなの」


 普通。いや、もうちょっといっぱい、いいとこあんのよ? 可愛いとかスタイルがいいとか。知的でどんな服も似合っちゃうとか。フツーじゃないのよ、色々。


「でも、実際のブランシュの演奏、聴いてるでしょ? もしかしたら本当はそういうの、あるんじゃないかな、って」


「……」


 じわっと急所を突くブリジット。そして認めたくはない、が無言はサロメの肯定を表す。ヴァイオリンについては詳しいわけではない。が、あれは非凡。それでいて音楽科ではない。余計に機嫌が悪くなる。


「で、これがショパンの『レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ』。五個目、かな」


 塗布したのは右手の甲。ブリジットは差し出す様が、まるでキスされる王女様みたい、なんてことも脳裏によぎってみたり。


「これが、あの」


 遺作。しかしショパンの曲は言ってしまえば半分は遺作。香水となる曲の選曲は一体なんなのだろうか。いくつあるのだろうか。ひとつ言えるかもしれないことは、もし数が決まっているのであれば、ピアノを中心しているのであれば、ショパンは最初か最後に持ってくるはず。私ならそうする、とルノーは決着。

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