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Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
消えるように。
339/369

339話

「使用するピアノはザウター『オメガ220』。ショパンを弾くならプレイエルかエラール、って言いたいとこだけど、こればっかりはどうしようもないわね。その教会にあるピアノを使うのが普通だし」


 パリ三区。オー・マレという愛称でも親しまれているこの地区は、迷路のように入り組んだ通りが多く存在し、最も古い家や建物、美術館に博物館なども観光地として人気。その一角のピアノ専門店〈アトリエ・ルピアノ〉。その調律師であるサロメ・トトゥが、店奥のソファで寝そべりながら大きな欠伸。


 間仕切りで仕切られており、店内では店長のロジェが接客をしている。そういうのはサロメはやることはない。調律だけ。それだけをこの店では担当している。ピアノに興味はあるが、ピアニストに興味は基本ない。


 そして話の内容はノエルのリサイタル、サントメシエ教会のピアノについて。この調律はアトリエの仕事になる。そして教会と学園側からの要望により、各日で簡単な調律を新しく入れる。作曲家による、そして弾き手による弾きやすさのため。セット料金なので多少値引き。


 その初日に演奏する予定のブリジット。対面のソファーに座りながら小さく頷く。


「うん、大丈夫。あれもすごく、いいピアノ。一回弾いてるし、サロメに任せる。私のショパン。ショパンっていうフィルターを、通した時に私が一番輝く音」


 少し前、教会にピアノが到着した日に試弾した縁もあり、このアトリエとはお近づきになった。自宅のピアノの調律も今後はここにお願いする予定。どんな自分の要求でも、むしろ自分の欲求を引き出す調律。信頼している。


 その日の担当はサロメ。ショパン。とりあえず弾きやすいように鍵盤を軽くやっときゃいいか、あたしの感性で。


「はいはい」


 と気のない返事。手は抜かない。ピアノは好きだから。ピアノだけは。

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