表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
消えるように。
321/369

321話

 余裕を見せつつフォーヴはさらに攻め立てていく。


「随分とショパンに心酔しているね。夜の二三時には寝ているのかな? 靴下はウール?」


 そのやり取り。全くニコルにはピンとこない。


「? なに? 二三時とか、靴下とかって」


 当然のように解説を姉に求める。今どき二三時に寝る? 自分は朝どころか昼くらいに帰ってくることも多い。もちろん寝ていないし、ウールの靴下て。暖かそうだけど。


 なんだか嫌な予感がする。ピリピリと気が張るような。ひとまずは求められたようなのでブランシュは解説を挟む。


「……ショパンは健康状態が悪いことのほうが多い人物で、主治医からはそのように言いつけられていたそうです。一切守っていなかったらしいのですが……」


 病気で亡くなる作曲家は多い。たしかにショパンもどちらかといえばそういう傾向にはあったが、彼の場合も他の例に漏れず、やりたいように生きていた。その結果、三九年という短い生涯になってしまったのは無関係ではないだろう。


 そんな早い時間に寝て。靴下履いて。ニコルはこの先の繋がりが全くわからない。


「ふーん、で、どうなったのそれ」


「婚約破棄です」


「いや、どういうこと」


 なんでそうなるのか。斜め上からのブランシュの結論に、呆れを通り越して怪奇の表情を浮かべるニコル。


 気持ちはわかる。なので細かくブランシュは説明を加える。


「元々は先の条件は、ショパンの婚約者の家族から出されていたものだったんです。自分の体を労って、ちゃんと自分の娘との未来を見据えているか。ですが、結果はこんなことに。それをきっかけにして、どんどん婚約者からの手紙も淡白なものになっていき……という流れです」


 以上。自業自得といえばそれまで。まぁ、親としては娘の心配をしていたわけで。その通りになってしまったわけだが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ