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Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
消えるように。
303/369

303話

 右手を握り返しながらもブランシュは首を傾げる。


「グルーヴ……」


 クラシックではあまり聞かない単語。もちろんなんとなく意味はわかるが、それを意識して演奏したことはない。少し不安に浸食され始める。


 まぁまぁ。肩を抱き寄せながらマノンがわかりやすく噛み砕いてフォロー。


「要はノリがよければなんでもいいってこと。ジャズでは一番大事。技術よりも」


 過程よりも結果。それだけに注視すればいい。終わりよければ全てよし。


 鍵盤の蓋を閉め、クロティルドはそこに頬杖を突く。


「クラシックの心地よさはジャズでは通用しない……こともないが、ジャズはなによりも一体感が大事だ。アドリブ重視。マノンが言った通り、ノれればなんでもいい。楽譜なんか無視でいい」


 ジャズというものは、楽曲のテーマをまず演奏し、アドリブを入れ、最後にテーマで締める、というものが圧倒的に多い。この個性を生み出すアドリブ。ここに聴衆は特に惹きつけられる。


 ならばアドリブとはなんなのか? それはテーマの『コード進行』を基準として、他は自分なりに好きに弾くこと。コード進行とは、複数の音が重なったいわゆる『和音』の順番、流れ。大雑把に言えば、これを守ってさえいれば、あとの部分は好きにしていい、ということになる。


 それにはちょっと待ったをかけるブランシュ。たしかにジャズを知りにここに来た。だが説明されたことと齟齬が。


「私はクラシックしか。それにマノンさんもクラシックでいい、と」


 言われた。どういうことだろう。もちろんジャズの曲はあまり知らない。学びにきたとはいえ、現時点では弾けるとは思っていない。


 それについてはクロティルドから説明が。なるほど、どうやらここに連れてきた人物は言葉が足りていない模様。


「言ってなかったみたいだね。私達はクラシック曲をジャズで演奏することもあるバンドなんだ。だからヴァイオリンはクラシックでいい。私が合わせるから」


 そしてジトっと連れてきた人物を睨む。よくこれで引っ張ってこれたものだ。どんな口車に乗せたのやら。

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