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Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
消えるように。
289/369

289話

「暇……つぶし?」


 ヴァイオリンを。クラシックを。そんな風にブランシュは考えたことはなかった。楽しいから弾く。それだけだった。ストレスが溜まったら、それは音に出てしまう。だからそんな時には弾かない。意味がないから。


 うーん、と他に言葉を見つけようとするマノンだが、やはりいいものが出てこない。


「みんなさぁ、クラシックってなんかとっつきにくい、頭の良さそうな、教養のある人にしかわからない崇高な音楽、とかって捉えてる気がすんだよね。まぁ、完全に否定はしないけどさぁ。でもさ、そうじゃないんだよね。ヤバい作曲家なんて山のようにいる。むしろ——」


「そうじゃない人物のほうが少ない……ですか?」


 ブランシュにもある程度は予想できる。作る曲は極上、だが今の世に解き放ってはいけないような危険な人物。そういう作曲家は……いる。


 少しずつシンクロしてきた。そんな嬉しい感想をマノンは抱き始める。仲良くなるにはまず、同じ方向を向くこと。


「そういうこと。わかってるじゃん、借金をしては夜逃げを繰り返すヤツ、白いものしか食べないと宣言したヤツ。知ってる? モーツァルトってギャンブルに使うお金を捻出するために作曲してたわけで」


 クラシック界のトップにいるような人物も、叩けばいくらでもホコリが出てくる。というより、そんなぶっ飛んだ人間だからこそ、歴史に名を残すくらいに新人類なわけで。なりたいか、と聞かれたら「いえ全く」と返すけども。


 とはいえ、敬意を払うべき人物であることは変わらないブランシュ。反応に……困る。


「聞いたことはあります……けど」


「そんなヤツばっかりなんだから。力込めて聴くほうが間違ってんのよ。だから私はストレス解消、暇つぶしに演奏する。観客のことなんか知るかっての」


 作り手がめちゃくちゃなんだから、自分もそれに合わせる。こういう解釈があってもいいんじゃない? それがマノン・トリアドウという人物。


 しかし、この学園に音楽科にいるということは、相当に高い技術を持っているということ。だからこそブランシュは深掘りしてみる。


「コンクールとか、そういったものは」

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