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Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
消えるように。
282/369

282話

「そうなのかい? どうもそういった匙加減が苦手でね。力の入れどころがおかしいとよく言われる」


 返しつつもジェイドはまだ思考をやめない。いつかなにかで使うこともあるかもしれない。他の人にも聞いてみたりするのもいい。場合によっては拝借しよう。


 出会ったのは偶然だけれども、こうして今、友人でいられることにヴィズは感謝。なにがあるかわからない。から、面白い。


「そこがあなたのいいところなのかもね。ありがとう、邪魔したわね」


 一気にショコラショーを飲み干す。なんだかリフレッシュできた。自分なりにも、香水のことはよくわからないけれど、こんな感じのはどうか、という案を持ってブランシュに話してみよう。参考になるかもわからないけど。


 ジェイドはカップとソーサーを受け取り、それを一旦、机に置く。


「もういいのかい? 私はなにもできていないよ」


 ただ雑談をしただけ。それもなにかアドバイス的なことも無し。思い返すが、やはりなにも。


 立ち上がると柔和な笑みでヴィズはドアへ向かう。


「それについては問題ないわ。問題は私がどう動くかだもの。あなたはショコラショーを淹れてくれた。実にありがたいこと」


 たったそれだけでも、人をひとり決意させるのには充分なほど。温かで甘い味と香り。それだけで。


 誰もいなくなった自室でジェイドは、その言葉を自分なりに要約して受け止めることにした。


「なるほどね。それはたしかに私にしかできない……というわけではないけど、お役に立てて嬉しいよ」


 結局、なにがなんだったのかよくわからないが、事態が好転しているならそれでいい。さて。もう少し深く、ショパンについて考えてみようか。

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