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Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
消えるように。
278/369

278話

 モンフェルナ学園寮。自室内にて、ゆっくりと歩き回りながらジェイド・カスターニュは、その名から思いつく情報を挙げてみる。


「ショパンは肺結核で亡くなったことからもわかるように、あまり体が強くなかった、と言われているね」


 趣味はショコラ作り。ベルギーはブリュッセル出身。留学でこちらに来ている。昔はヴィオラを弾いていたため多少はクラシックの知識はあるが、もう弾けないとのこと。


 以前、音楽科のホールでちょっと会っただけ、という程度の間柄ではあるのだが、なんだかそういう、俯瞰的に今の状況を見てくれそうな人をヴィズは探していた。頭を突っ込みすぎていないというか。いや、ただ話したいだけというか。だからつい。来てしまった。ベッドに腰掛ける。


「シューマンやモーツァルトもそうだけれども、もし今の医療技術が当時あれば、もっともっとたくさんの名曲を生み出していた、と考えると……やるせないわね」


 若くして亡くなった作曲家は多い。現在では薬などで高確率で完治するようなものも。嘆いても仕方ないが、それでもクラシックに関わっていると、そう考えてしまうことがある。


 ふむふむ、とジェイドはその事実について、思うことがある。なにもかも不自由な時代。インターネットなども当然ない。


「むしろ、その当時だったからこそ、音楽にのめり込めて作曲できたんじゃないかな。ほら、今よりもずっと娯楽の少ない時代だし」


 便利な世界に慣れすぎてしまったからこそ想像できないが、音楽こそが活力となっていたのだろう。曲を聴きたければ自分で弾くしかない。そんな状況。


「その考えもあるわね。逆にリストなんかは遊び呆けて、現在のような名声なんて得られていないかもね」


 ヴィズも賛同する。情報が溢れかえる時代だからこそ実感しづらいが、もしそれらがなければもっと質素で色味のない生活を送っているだろうことは、想像に難くない。当時でも浮ついた噂の多いリストには、今の時代は羨ましがられるだろうが。


「ま、ハイドンなんかは八十歳くらいまで生きていたし、シベリウスは九十を超えていた。全くもって人間は不思議だ」


 若くして亡くなった作曲家もいる一方、今の時代で見ても長命な人物というものは当然いるもので。そういったものをジェイドは何人か。ストレスのない生活でもしていたのだろうか。

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