224話
唐突に携帯から声が聞こえたエデンは、左右非対称に顔筋が強張る。
《なんだこれ? 繋がってる? で、なんであんたが謝るんだ?》
呼び出され。そして謝罪を受ける。一体なにが起きている? まぁ、大体はこいつが原因なんだろうけど。
こいつことフォーヴが自己紹介を仲介する。今後なかったかもしれない出会い。せっかくだし。
《こっちはエデン。それで向こうはブランシュ。お互いに覚えておいて損はないだろう。私が保証する》
損があっても知らないけれども。そこはキミ達次第。
怯えながらもブランシュは、なにをどう説明したらいいのかわからない。
「その……間接的には私が原因で……」
と伝えるので精一杯。なんでこんなことになっているのだろう?
なぜか電話の向こうの人物が萎縮してしまっているが、状況からエデンは大体のことを把握。これが初めてではない。
《全く話が見えてこないが、こいつのせいだろ。あんたをダシにして、チェロを弾く口実を作っただけだ。結局はこいつに利用されてるんだよ、あんたも。俺も》
一応、肩を持つ。共通の敵はいる。
きっと優しい……のだろうと、本質に至るブランシュ。
「そう……なんでしょうか。では……なぜ来てくださったんですか? いきなりでしたし、その……」
《あ? なんでそんなこと教えなきゃいけないんだ?》
言ってからエデンは「やばっ」と発言の強さに舌を出した。明らかに弱気な相手には少々キツかったかもしれない。が、数秒無言を貫いてしまったことで、謝るタイミングを逃す。
その不器用さにフォーヴは微笑ましさすら湧き上がる。
《相変わらず言葉選びが下手だね。彼はね、エデンは私のことが好きなのさ》
「え!?」
思っても観なかった展開。どう反応すればいいのか。固まるブランシュ。
《言ってねーよ。あんたも騙されんな。こいつを踏み台にして上にいく。そのために利用してるだけだ、勘違いすんな》
冷静にエデンは否定。しかし、呼ばれる度に応じていては、そう勘違いしてくるヤツもいるのか、と自戒した。気をつけよう。
だが、それこそがフォーヴの狙い。欲しい発言はもらえた。
《ね? 自分のためだろ? 結局人間なんてこんなもんさ。ニコルは不純物なく利用しているね。それを本心で嫌に思ったことはあるかい? トルコのことわざにもある。『友人はあなたのために忠告するのではなく、自分の利益のためにする』とね》
そういった意味では、今回の相談は彼女にしてみても、同じ結果だっただろう。幾分かは大雑把に。
嫌に思ったこと。なんだかんだとブランシュからすれば、グイグイと引っ張っていってくれる存在。
「そう、言われてみれば……」
と、流されかけたが、ある。歌わせようとしたり。洗濯物を全くやらなかったり。お菓子がなくなっていたり。




