ハリーポッター? もうやめて!! 私のライフはゼロよ!!
耐えられなくなったので投稿します。
極めて私的な鬱憤晴らしエッセイなので、少々汚い言葉遣いも出てまいります。
また、重大なネタバレを含みますので、お読みの際はご注意くださいね~。
こんにちは〜!! ひだまりのねこです〜。
皆さま、ハリーポッターという作品をご存知でしょうか?
え? 当たり前だろうって?
そう、読んだことがなくても、名前ぐらいは誰もが知っている世界的ベストセラー。
今日はそんなハリーポッターにまつわる超私的なお話。
※致命的なネタバレがいくつもあります!! これから読もうと思っている方は今すぐ引き返すのです!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私の部屋の本棚には一際異彩を放つ本があった。
正確にはシリーズだが、なんなら銃弾を止められるのではないかと思うほど分厚い。
そう、当時は知らなかったが、かの有名なハリーポッターシリーズだ。
ファンタジー好きの私が読まない筈も無く、あっという間に4巻を読了。
面白かった。このワクワク感、ナルニア国物語以来ではなかろうか。
最後が中途半端で終わってしまったことが残念ではあるが、両親に聞いたら続きは無いとのこと。
その時はそうなのかと納得し、以来すっかり忘れていたのだが。
あるとき教室でクラスメイトが読んでいたのだ。見たことのないハリーポッターシリーズを!!
聞けば全7巻で完結しているというではないか。
私はすぐに両親を問い詰めた。
しかし……
「ねこ……世の中には知らない方が良いこともあるんだよ?」
意味深にそう返されて困惑してしまう。
両親のこんな悲しそうな表情は見たことがない。
これは読まない方が良い。私の直感はそう告げていた。
「え? ねこハリーポッターシリーズ読んでないの? 意外~!!」
「4巻までは読んだよ」
読んでいないと思われるのはなんとなく悔しい。
「そうなんだ、続き貸してあげるよ~」
「……読みたくない。だってバッドエンドなんでしょ?」
「は? そんなことないよ、めっちゃ面白かったし」
……あれ? てっきりバッドエンドだと思っていたんだが、もしかして杞憂だったのか?
そうなると続きが読みたいという好奇心が勝る。貸してくれるという友人の厚意を無下にも出来ず、結局禁断の続編を読むことになってしまった。
続きを読んだ結論を言おう。
両親が正しかった。
私の一番好きなキャラ、シリウスが死んだ。
しかも意味不明な死に方で。死ぬ必要があったのかさえわからない。
両親が殺されて天涯孤独だったハリーにやっとできた家族のような存在だったのに、あっけなく死んだ。
シリウスは無実の罪で長い間牢獄に囚われていた。そこは地獄のような場所。世界を恨み復讐の鬼になってもおかしくないのに、耐えに耐えて、ようやく自由の身になったのだ。
それなのに何の目的も果たさずに死んだ。
なんで? なんでこんな酷いことするんだろう?
私にはこれを書いた作者の気持ちがわからなかった。
泣いて泣いて、泣き疲れてまた泣いた。
私の心はボロボロになって、立ち直るのにかなりの時間を要した。
それでも続きは読んだ。
今はわからなくても、シリウスが死んだ理由がきっとあるはずだと信じていたから。そして何より、ハリーとハーマイオニーが幸せになる結末を見届けたかったから。
私はハリーとハーマイオニーが結婚すると思っていた。いや、しなければならないと確信していた。
だが違った。よりにもよってロンとくっつきやがった。
いつも周りをウロチョロして邪魔なヤツと思っていた一番苦手なタイプのキャラだ。
主人公の親友ポジションではあったが、私の中では完全にモブ扱いだった。
それでも、ハリーとハーマイオニーの仲が進展するためのスパイスは必要だろうと我慢していたのだ。
私はハーマイオニーに自分を重ねていた。少しだけ似ているところがあったから。
自分の中では完全にハリーとのハッピーエンドしかないと思っていたのに、まさかのロン。
なんだこれは? ファンタジー作品だと思ったら、ひょっとして麻雀ものだったのか?
「ロン・ウィーズリー!! 貴様との婚約破棄を宣言する!!」
今ならそうツッコミを入れるところだが、当時の私にそんな余裕などない。
私の心は粉々に砕け散った。
ビリビリに破いて燃やしてやろうかと思ったが、危ない、友人に借りた本だった。
たしかに良作なんだとは思う。人の心をこれだけ動かすことが出来るのだから。
だが、私は深いトラウマを抱えた。
正確に言えば、もともとあったトラウマが救いようがないほど悪化した。
私が異常なまでのハッピーエンド厨になったのは間違いなくこれがきっかけの一つだと思う。
多分、多くの人はハッピーエンドじゃん? と思うかもしれないが、好きなキャラクターが幸せになれないハッピーエンドなんて断じてハッピーエンドなどではない。
今、私は書き手として思うことがある。
ひょっとして、原作者は皆が予想する結末が嫌で急遽変更したんじゃないかという天邪鬼疑惑だ。
あるいは好きなキャラを殺したり苦しめたりせずにはいられない性なのかもしれない。
いずれにしても、二度とこの作者の本を読むことはないだろう。仮に読んだら百万円くれると言われてもお断りだ。
私がこのダメージから立ち直るまでに数年を要した。癒えたわけではない。年月と忘却が傷を目立たなくしただけのこと。それほどまでに傷は深かったのだ。
しかし……本当の地獄は始まったばかりだった。
映画やアミューズメント施設のアトラクションが出来るたび、がんがんCMや広告が巷に溢れ、そのたびに私の塞がりつつあった傷を抉る。
そしてようやく静かになったと思っていたら、今年、舞台が日本上陸。
くっ、これが世界的ベストセラーの力だというのか? まるで生涯続く呪いのようだ。
……ハリーポッター? もうやめて!! 私のライフはゼロよ!!
絵/黒星★チーコさま