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異世界マゼマゼ奮闘記  作者: ぷい16
第四章 世界の工場
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火力発電所、給電開始

「早急に駆けつけて頂いて、おまけに治療までしてしていただき、(まこと)にありがとうございます」



 負傷者が落ち着き、西洋医から、(あと)も残らないとお墨付(すみつ)きをいただいたので、汲広(くみひろ)とアントネラは今、所長室に()る。


 治癒魔法師は治療院に帰って患者の治療をするとのこと。


 なので、掃き出し窓の能力で治療院へ返した。


 急患だと治療院の患者を放って()いて、発電所に駆けつけたのである。


 治療院にいた患者は急ぎではないものの、放っておく訳には行かなかったのである。



「あの設備は熱を余すことなく使うための、二次的な設備でね。発電の出力は下がるが()くても一応しのげる。あの水蒸気は循環(じゅんかん)式で設計されていて、配管に何らかの不備があったのだろう。蒸気漏れで循環はストップだ。今は煙突から水蒸気を逃がしている。河から水を供給してしのいでいるところだ。しかし、作業員を危険にさらした。これは私の責任だ」



 所長は沈痛(ちんつう)面持(おもも)ちだ。汲広(くみひろ)は、



「それでは、今後、事故の究明と再発防止策(さいはつぼうしさく)をお願いします」



 と、お願いすると、



「もちろんだ。本社にこの事故を報告し、事故の究明と再発防止策(さいはつぼうしさく)を打つつもりだが、本社のものと同等の資料をアカツキ伯爵にも提示するつもりだ」


「それを聞いて安心しました。ご報告、お待ちしております」



 負傷者(ふしょうしゃ)は、(きず)(なお)ったものの、精神的ショックがあり、1週間有給扱いで休ませるそうな。


 復帰前に、一度、西洋医が念のため、傷跡(きずあと)を見たところ、傷跡(きずあと)は、無かったかのようにきれいに(なお)っていた。



 半月後、中間報告が火力発電所から届いた。


 配管の結合部のパッキンが、手違いで年代物が火力発電所に届き、それに気付かず取り付けたそうな。


 結合部を外してみたところ、パッキンは劣化してホロホロと(くず)れ落ちたそうな。


 報告書は数点の写真付きで送られてきた。


 確かにパッキンはボロボロであった。


 パッキンを新しいものに取り替え、通常運転の倍の圧力の水蒸気を流して入念にテストしたところ、各部問題ないとされて、通常運転に戻った。


 問題は、火力発電所から、パッキンを納入したゴム製造の会社へと移った。



 これを端緒(たんしょ)に、火力発電所の他の設備も入念にチェックされた。


 他は特に問題なしとされた。


 出力60%になったところで工業団地に給電する運びとなった。



 火力発電所ができたことで、前に作った水力発電所は火力発電所の管轄(かんかつ)となり、揚水型の水力発電所に生まれ変わる予定となった。




 火力発電所を作る計画案が出たところで工場団地だけではなく、近隣の村にも給電して欲しいと(たの)んでおり、工場団地の建設と共に、各村々へと給電する電線、村で電気を使うための変電設備、そして、村の家一軒一軒へ電気を配る配線も、着々と準備が進められていた。


 出力の関係でまだ給電されていない。


 出力が70%になったところで近隣の村への給電が順次行われる予定だ。


 その村々の中にはハーパヤの街も含まれる。


 元々、水力発電所から少ないながらも給電がされていた。


 その配線を入れ替える形で新たにもっと高出力な電気に()える配線に差し替えられた。


 電気に慣れてきたハーパヤの住民に配慮(はいりょ)し、まずはハーパヤに電気が供給された。


 汲広(くみひろ)がハーパヤの街を歩くと、



「電気が明るくなった。ありがとう」



 やら、



「スマートフォンの充電が家でもできるようになった。ありがとう」



 など、感謝の言葉をかけられることが度々(たびたび)あった。


 汲広(くみひろ)は、電気が使える生活は、良い変化なのだろうと思っていた。



「調子に乗って使いすぎると、電気代金払えなくなるぞ」



 と、汲広(くみひろ)はちょっと(おど)してみた。すると、街人からは、



「領主様のお陰で収入が増えました。電気料金くらいは払えますよ」



 との返事だった。



 工場団地の目的に、地元民を多用して、安い賃金で労働力を確保するという(ねら)いがあった。


 そのため、工場の労働者は、インジスカン王国のみならず、周辺各国へも応募され、まず、日本語を覚えてもらい、日本の工場で研修を受け、工場団地の片隅の団地に住まい、新たに稼働した工場で働いている。


 畳ではなく土足の生活ながらも団地は日本式が多用され、労働者の度肝(どぎも)()いた。


 テレビもある。ケーブルテレビで日本の放送が見られる。インターネットも使える。


 冷蔵庫に掃除機に洗濯機。労働者の生活は一変した。



 その(うわさ)は他の領地にも飛び、果ては数年後には他の周辺国にまで広がることとなる。


 他の領主から”見学に来たい”との申し出が多数来たが、汲広(くみひろ)は”もう少し落ち着いて、労働者の生活が安定してから”と、丁重に先延ばしにしていた。



 これでインジスカン王国も一変(いっぺん)するかな?と、期待と一抹(いちまつ)の不安を持つ汲広(くみひろ)であった。

お読み下さりありがとうございます。


地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。

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