進路面談
スキカの苦言はギリギリのタイミングであった。
もう少し、事を起こすのが遅れていたらアカツキ伯爵はいずれ倒れていたことだろう。
スキカも天界で、一番の治癒師、ハペリンにアカツキ伯爵が倒れたら助けてやってくれと頼んでおいたのだが、どうやら杞憂に終わったようだ。
第三者目線のナレーター:ぷい16よ、アカツキ伯爵を倒れさせて、読者にキツい訓示を垂れる作戦はどうなったのですか?
ぷい16:大事なことを伝えようとしてか、話しを面白くしようとして、自分でフラグを立てようとして、成り行きでフラグをへし折る。この物語では定番化している。気にするだけ無駄さ。
第三者目線のナレーター:計画なしの成り行き任せ。ぷい16の無計画さ加減にはついて行けないわ。早く次のオファーが来て、ここのナレーター降りられないかしら…。
ぷい16:おいおいここで降りられたらこっちが困る!勘弁してくれ!
*
スキカの休み大作戦は王都側、領地側、双方の悠生やステファニア、汲広やアントネラを取り巻く人間に功を奏していた。
領地側は、シフトによって汲広もアントネラもきっちり休みがもらえ、王都側の方も最初の頃は、完全オフの日でも指示を仰ぐ連絡が来たものの、時間が経つにつれて、それもなくなり、アカツキ伯爵もステファニアも完全オフの日を満喫することができた。
とは言っても、双方の汲広やアントネラも日頃よりたくさん寝ることに集中するだけであるのだが。
そうして月日は流れ、牧場を経営することが目標の綿抜一久や、五右武路永遠は、家畜の繁殖に成功しつつあった。
一久は、食肉を売りたいので、もっと繁殖させて、数を増やすことに専念し、酪農を目指す永遠は、わずかでも繁殖に成功するということは、永遠の飼っているブーキルが妊娠しているということ。
それはすなわち乳を出せるということに他ならなかった。
まだ売れるまで量が出る訳ではないが、自分や一久、汲広やアントネラが飲むくらいなら賄える。そうして、永遠は、試飲と称して毎日一久やアカツキ伯爵邸にブーギル乳を振る舞うのが日課になっていた。
そんなこんなで、アカツキ領の汲広は高校を無事、進級し、高校4年生になっていた。
普通、進路について、高校3年生になった時点で大まかに決めておかないといけないのだが、編入当初から、進路は家業をやるとか、サーメイヤ語の通訳になるとか、色々今後の展望を書いて送ってはいるのだが、学校側は、何故かそれで納得してくれない。
それで話しは大きくなり、高校の教師から呼び出されることになった。
「お世話になっております。4年の岡塚汲広です。こちらは父の修司に母の朋子、妻のアントネラです。宜しくお願いします」
「私は汲広君の担任の藤原敦子です。こちらこそ宜しくお願いします。…って妻?」
「はい。特措法でちゃんと籍に入ったどこに出しても恥ずかしくない妻です」
「特措法って…あなた、何をやったんですか?」
汲広は事のあらましを敦子に伝えるのであった。
「…そうですか。では、汲広君はすでに仕事をしていて、進路希望はその、今やっている仕事を述べたものだから、全く現実味が無い話しではないと…」
「そういうことです。実際、サーメイヤ語に関しても、政府の重要な会談で通訳もしたこともありますし、実際、その席にいたことを現すものもありますし」
と言って、汲広は、日本とインジスカン王国の国交樹立の際の新聞を取り出し、見出しの写真を先生に見てもらう。
そこにはアントネラははっきり写っていて、切れていて、顔全部は写っていないものの、汲広と分かるくらいには顔が収まっていた。敦子は、
「この話題は新聞やニュースで知ってはいましたが、これ、汲広君なのですか?」
「そうです。僕です。当時、他の人に任せられるほど、通訳がいませんでしたから。それと、こちらも」
そう言うと、アントネラは、地球でのサーメイヤ語学会の会長を現す書状を見せるのであった。
「私、この国でのサーメイヤ語学での代表をしています。私から見ても汲広は私並に通訳が堪能です。それに、インジスカン王国へ渡れば、貴族位、伯爵として扱われます。この片方だけでも食べていけるものが2つもある。それで納得していただけないでしょうか?」
そう言われれば二の句を継げられない。敦子は納得して、
「分かりました。汲広君はもう仕事をしていて進路については盤石なもの。これで納得するしかないのですね」
「分かって頂ければ助かります」
そうして、汲広たちは進路面談を終えるのであった。これで進路についてはとやかく言われることはないであろう。
「アントネラ、無理させたか?」
「何を!貴族出身の、それもあちこちの学校の代表をしている私がこれくらいで無理をしていると思われたら心外です!」
「そうだよな。アントネラは僕がいなくても交渉事くらいできるよな」
「そうです。だからあまり気に病まないで下さいまし」
「ああ、分かった」
通常、汲広とアントネラは一緒に休むことはない。それは、どちらかが代表をしないといけないからだ。
そして、日本とインジスカン王国の時差を考えたらインジスカン王国側では今は夜中。
汲広もアントネラも少し仮眠を取ったら仕事だ。
学校側の無理解で睡眠時間を削られて嫌な思いがした汲広であった。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。





