工場団地建設の許可
使用人の新人研修は順調に進んでいた。
あまり急がず、詰め込みすぎずが汲広の方針である。
そんな中では佐藤夫妻やパトルス夫妻には負担を強いているのではあるが、彼等も、念話、土のう袋、掃き出し窓と順調に能力の使い方を覚えていくのである。そして、
「ここが第1採掘場ね」
汲広は、第1採掘場、第2採掘場、第3採掘場と案内していき、そして、日本の鉄工所へも案内した。
「主に、鉄工所と第1採掘場との間だと思うけれど、遠距離の掃き出し窓の能力の練習に、交替でここの機材の運搬の手伝いをして貰います」
まずは、汲広も付き添いで、掃き出し窓の能力の練習をする佐藤夫妻。明日はパトルス夫妻である。
両夫妻とも、安定して能力を発揮しており、やがて、汲広も付き添わなくなる。両夫妻とも、もう、能力について、教えることはないであろう。
*
場所はインジスカン王国王城、謁見の間。
そこには、ジョージ国王とアカツキ伯爵がいた。
「今日はお願いに上がりました」
「して、お願いとは何だ?」
「日本にて、工業団地を作りたいという企業が御座いまして、その許可をいただきに参上しました」
こうして、工場団地の説明をするアカツキ伯爵。それを聞くジョージ国王。
「して、その工場団地はどこにするのじゃ?」
「アカツキ領の東部から、ビーヒャラ河をはさんで隣のスズケホーズ領にかけてで御座います」
「広大な土地であるな」
なおも説明するアカツキ伯爵。ひとしきり説明をして、ジョージ国王は、
「それは、儲かるのかの?」
「貴族を含め、職の無い者に職を与え、ガス、水道、電気などのインフラも整い、そして、日本円が手に入ります」
「日本に牛耳られるのはしゃくだが、うまみはあると?」
「左様に御座います。そして、日本に牛耳られるとは言っても、物流は依然、インジスカン王国の手中に御座います」
ジョージ国王は、少し考えた後、
「あい分かった。工業団地とやらの建設の許可を出そう。稼働するときは案内してくれるのだな?」
「はい。もちろんで御座います」
こうして、工業団地建設の許可が下りたのであった。
謁見の間を辞したアカツキ伯爵は、
(汲広、今大丈夫か?)
(大丈夫ですよ)
(工業団地建設の許可が今、降りたぞ)
(そうですか!やりましたね!)
(これからそちらも忙しくなると思うから、頼んだぞ)
(まかせて下さい)
そうして、使用人の新人研修も、終盤にさしかかったある日、お願いをして、第1採掘場の車を出してもらってスズケホーズ領へと向かう汲広。
「やっぱり、車、乗れるようにしておかなきゃなぁ」
スズケホーズの領主邸へとそのまま車で乗り込む汲広。
領民は、皆、奇怪なものを見たという顔をしている。
車を駐車場に止め、汲広は従者を従えて、
「アカツキ領当主、ユウセイ・フォン・アカツキが参った。スズケホーズ領主にお目通り願いたい」
そして、客間へ通された汲広は、少し待たされ、スズケホーズ領主、ドナルド・フォン・スズケホーズとの面会を果たすのであった。
汲広は工業団地の説明をし、それが自領、スズケホーズ領にどの様なメリット、デメリットがあるのかを説明した。
「本格的なことは、我々と、日本企業のトップが話し合いの末決まるとは思いますが、概要は以上です」
「その会合で、細かな所を詰めていくという感じかな?」
「はい。そうなると思います」
ドナルドは少し考えた後、
「あい分かった。工業団地の建設、こちらも許可したということで返事をしておいてくれ」
「ありがとうございます」
工業団地建設の基礎は整った。そして、汲広は網弾野に連絡し、
「網弾野さん、工業団地の建設のこちら側の許可、降りましたよ」
「本当ですか?助かります!」
網弾野は大喜びであった。
*
「自動車の運転免許を取ろうと思うんだ」
汲広は、自領に帰って落ち着いてから、アントネラにそう告げるのであった。
「年齢も十分だし、他の仕事を疎かにしなければいいんじゃない?」
「そうか。許可を出してくれてありがとう!それから、車を買いたいんだが?」
「いいんじゃない?それくらいじゃぁアカツキ領はビクともしないんだし」
あれから話しには上っていないが、マヤ・スムケホーズを筆頭とした、農作物を日本に売りに行く班の方も、順調に進んでおり、農作物の取引の値段が上がり、少しだけアカツキ領を潤している。
発電機を買うのは痛いが、教習所に通うとか、一般的な車を1台買うくらいなら、アカツキ領はビクともしない。
これからまた、忙しくなるぞと気合いを入れ直す汲広であった。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。





