アカツキ伯爵のプレゼンテーション
インジスカン王国王都、シンダーグスにある英語学校。そこには貴族が続々と詰めかけていた。
「パソコンとはどのようなものでしょうね」
「あの電卓を上回るものと聞いていますので、さぞ便利な物でしょう」
ここは教室のうちの一室。
貴族連中も、期待に胸を弾ませ、集まってはガヤガヤと話し始めた。
集めたのは今、王都在住中の貴族達。領地帰還組をわざわざ呼んだりしない。
貴族が集まり、王族も、ジョージ国王、アナベル王妃、ガブリエル第一王子、アーノルド第二王子が集まった。
外でエンジンの始動音がしてしばし、そこへアカツキ伯爵が入ってきて、
「大変お待たせ致しました。パソコン教室へご案内します」
そう言って、一行を案内した。
パソコン教室には40台のパソコンがあり、貴族にはそれぞれパソコンの前へ座ってもらった。
アカツキ伯爵のパソコンは既に起動している。アカツキ伯爵は、そのパソコンから、全てのパソコンに順次起動するように指示を出した。
すると、一台、また一台とパソコンは起動していき、貴族が座っていない所も含め、全てのパソコンが起動し終えると、アカツキ伯爵は話し始めた。
「普通なら、ここでパソコンの使い方を説明して、ご理解頂くのが筋ですが、パソコンの使い方については奥が深すぎてここでは説明できません。ですので、簡単なゲームをやって貰いたいと思います。」
貴族の前のパソコンは起動しており、ゲストユーザーでログイン状態。
それに、簡単なパズルゲームが起動していた。
アカツキ伯爵は一度、自分のパソコン画面をプロジェクターで表示させると、そのパズルゲームを解いて見せ、その後、控えていた英語教室の生徒が入ってきてマンツーマンでマウスの使い方を教えながらパズルを解かせた。
そして、一通り貴族を満足させ、英語教室の生徒を教室の後ろへ下がらせ、
「今体験していただいたのは、パソコンの利用法の一端です。これを使えば、支出の帳簿付けだったり投石の弾道計算だったり弓矢の弾道計算だったりと色々な用途に使えるわけですが、折角なので、パソコンだけでなく、日本の便利道具を紹介したく、こんなビデオをご用意しました」
プロジェクターにビデオが再生される。
それは、ステファニアが夫のアカツキ伯爵を甲斐甲斐しくお世話するビデオ… 一見そうなのだが、そこら中に電化製品を使っているビデオであった。
照明から初まり、テレビ、BDレコーダー、スマートフォン、掃除機、洗濯機、冷蔵庫、電化製品ではないが、車、ガス、風呂…etc.
そして、発電所。その電力やガス、ガソリンなどの資源をもたらす原油採掘場と、ラストシーンはインジスカン王国の悪魔の地であった。
貴族は初めて見る映像に驚きながらも内容に集中しだし、終わったとみるや、拍手が鳴り響いた。
「いやぁ、素晴らしい」
「ビデオというものは素晴らしいですな」
「いやぁ、こんなの初めて見ましたよ」
ビデオを絶賛する声が響いた。すると、一人の貴族から、
「最後は悪魔の地のようでしたが、何か関係があるのですか?」
すると、ジョージ国王から、
「ふむ。電気を産む様々な資源は悪魔の地のような場所で採掘されるそうだ」
一同びっくりし、ガヤガヤと話し始める。
「いや、悪魔の地は危なくて人が足を踏み入れられない場所だとか」
「一度火が付くといつまでも燃えていて危なっかしくて人は踏み込めませんよ」
「いやいやいや、悪魔の地なんて何の生産性もないただの厄介者です」
すると、アカツキ伯爵は資料で机をパーンと叩き、ビックリして静かになったところで一言。
「燃えるからイインデス!」
と。
「燃えるから良いんです。燃えたところから動く力に変換し、それを電力に変える。皆さんに使ってもらったパソコン、それは電気で動いています。先ほど見せたビデオの中でも、テレビ、BDレコーダー、スマートフォン、掃除機、洗濯機、冷蔵庫、全て電気で動いております。皆さん、便利な生活はしたくありませんか?」
アカツキ伯爵はたたみかけた。
そう聞かれても、掃除も炊事も洗濯も、全て従者に任せている貴族には今ひとつ響かない。
しかし、
「でも、ゲームは面白かったよな」
「ビデオというものをもっと見てみたい」
「パソコンというものに興味を持った。子供に習わせるかな」
パソコンとビデオには興味を持った様子。
「そして、悪魔の地はお金を産みます」
そう、大々的に宣言するアカツキ伯爵であった。そして、一人の貴族は、
「電気というのは我が家にも引けるのかい?」
「将来的には。悪魔の地が全てをひっくり返してくれるでしょう」
と返すアカツキ伯爵。
原油や電気の宣伝になったかは分からなかったが、娯楽としては成功したようである。
「今日見たことは帰ってから検討してみて下さい。この国を大きく動かす、今は分岐点ですから」
そう言われたものの、情報量過多すぎて、処理しきれない貴族達であった。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。





