閑話―岡塚家のインジスカン王国観光―前編
日本組の岡塚汲広がまだインジスカン王国に居るのは何故か?
本来、領地巡りは夏休みを最後まで使ってギリギリの日程であった。
予定が早く進み、日程に余裕が出来たと言っても高々3日くらいである。
なのに、領地行脚が終わっても、汲広もアントネラも日本に帰っていない。
それは、汲広が高校を休学しているからである。
汲広はアカツキ領の人が住んでいる所をくまなく歩いて回った。そして思った。“こりゃ、夏休み期間中に全ての仕事を終えるのは無理だな”と。
そして、休学を決断したのである。
*
時は戻って日本組の汲広とアントネラが領地行脚をしていた初期の頃、ふいに汲広が、
「ウチの両親と朝里、盆休みは何をするんだろう?」
「どこかへ出かけるとかそんな話聞きませんでしたね」
「思うんだけど、こっちに呼んで、インジスカンを観光させないか?」
「それはいいですね。私の故郷も見せたいですし。両親にも合わせたいですし」
こうして、インジスカン王国を観光させる案が浮上した。
汲広はその日の宿泊地に着いた夜の7時頃、汲広は掃き出し窓の魔法で日本の実家を訪ねた。
すると、父の修司、母の朋子、妹の朝里が揃っていた。そこで、インジスカン王国の観光の話を出したところ、父の修司は、
「いいなぁ、あちらのご両親とも会って話をしてみたいと思っていたし、アントネラさんの故郷も見てみたい」
「いいわね。私も賛成よ」
「謎と神秘の国、インジスカン王国。2学期が始まったら友達に自慢できるわね」
家族も乗り気になってくれたようである。
「それで、海外に行くのだから、パスポートと観光ビザを用意して貰いたいんだけど」
「しかし、お前、パスポートビザも持たずにあっちにもこっちにも行き来しているじゃないか」
「それは、僕もアントネラも二重国籍、あっちにも国籍があるんだ」
「しかしお前、国籍があっても、ちゃんと出入国の手続きちゃんとしていないんじゃないか?」
「そこは、色々と特例があるからいいんだよ」
「ふぅーん、そんなものか」
色々と話しを深掘りすると、墓穴を掘りそうなので、誤魔化す汲広であった。
「要件は分かった。それじゃぁ、こちらも準備しておくよ。楽しみにしているよ」
「みんなに楽しんでもらえるよう頑張るよ」
そして、一通り話を終えたので、掃き出し窓の魔法でアカツキ邸に帰る汲広であった。
汲広が実家に戻っている頃、アントネラは王都のシンダーグスに出向いていた。
向かったのはカンデラ邸である。
今は、父のスティーブも王都の仕事をする期間なのであり、王都のカンデラ邸で過ごしていた。
母のナンシーも、長女のシフォンも、長男のマイクも、次女のリサも居り、家族全員と話が出来るようだ。アントネラは、
「今、悠生が話しに行っている途中なのですが、悠生の家族をインジスカン王国に観光しに来ようという話がありまして、折角なので悠生の家族と会って歓談でもどうかなと思いまして」
「そういえば、悠生君の家族とは会ったことが無かったな。良い機会だし、一度話してみることは良いことだ」
「それでは、その方向で話を進めますね」
「あぁ、そうしてくれ」
そうして、話しを通した汲広とアントネラは、掃き出し窓の魔法でアカツキ領の領主邸に戻り、ちょっと遅い朝食を摂り、また領地行脚へ向かうのであった。
*
準備は着々と進み、出発当日。外務省での出国手続きも済ませ、早めに風呂だけは済ませて汲広の迎えを待つ岡塚家一行。時刻は夜の8時。待っていると汲広がやって来た。
「お待たせー」
泊まりでの旅行のため、岡塚家一行はかなりの荷物を持っている。
それを汲広は掃き出し窓の魔法で家族の荷物を預かった。
まずは、インジスカン王国の首都、シンダーグスのアカツキ領主邸へと案内した。
「わぁー大きなお屋敷!」
「汲広、よくこんな大きなお屋敷を借りられたな」
「借りられたも何も、ここは僕のこっちでの家だよ」
「え、こんな大きなお屋敷が持ち家なのか!汲広、お前何をやった!」
「日本の便利機器をこっちに持ち込んだら高く評価されてね。それでこちらでは伯爵位をもらってる」
「伯爵!?お前、こっちでは貴族をやっているのか!」
「そだよー」
そんな話をしていると、インジスカン組のアカツキ伯爵とステファニアとすれ違った。
アカツキ伯爵は、
「あぁ、こっちに来るのは今日だったか。インジスカン王国での観光、楽しんでくれよ」
「あ!え!?汲広が二人!」
「汲広、話していなかったのか。魔法で分身の術が使えるんだ。僕はインジスカン王国在住の方の汲広とアントネラ。で、掃き出し窓の魔法で連れて来たのが日本在住組の汲広だ」
「お前ら目を離した隙にとんでもないことになってるな。俺、頭が追いつかん」
大きなお屋敷の持ち家に、伯爵の貴族位、そして、1組だと思っていた息子夫妻が魔法で2組になっている。岡塚家一行に立て続けに続くびっくりな出来事に、来て早々頭がこんがらがっていたのである。
すると、日本組の方のアントネラがやって来た。
「ようこそインジスカン王国へ。この国の観光を楽しんでいって下さいね。お食事の用意が出来ています。食堂の方へご案内します」
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。





