綿抜一久君、職場を辞めて新天地で頑張るってよ
スマートフォンの話しは継続週の中、汲広の元に1通のメールが来た。
「綿抜一久さん、決心してこっちに来て畜産業をするらしいよ」
「あらまぁ、思い切りましたね」
汲広は畜産を推進する立場を取っており、畜産の例のない、このインジスカン王国で、自領の視察の際、周りに”畜産をしてみないか”と吹聴していたので、この、一久と、もう一人、酪農を目指している五右武路永遠の存在は、まさに、渡りに船であったのだが、一久も永遠も、自分たちの運命がかかっている。
いくら汲広に都合が良くったって”はいそうですか。それでは土地を提供するのでやって下さい”という簡単な話では無かったのである。
しかし、一久は、覚悟を決めてやって来るというのである。もう、本人の自己責任なので、汲広が断る理由が無かったのである。
そこで、汲広は、こうメールに返信をした。
“熟考の上の決断でしょうから、こちらからは何も言うことはありません。
アカツキ領、ハーパヤの街は、街は住宅地やお店など。その外周は果樹園や、小麦などの農作物の栽培で、既に利用されていますが、その、さらに外周は、誰も使っておらず、空いております。
つまり、住居のある街からは離れた土地ですが、そこなら畜産に使えますが、そこで良ければ使って下さい。
あと、ここは外国なので、パスポートの手配など、出国の手続きと、インジスカン王国の就労ビザはちゃんと取って下さいね。”
次の日、また、一久からメールが来た。
“私は、外国に行ったことがなく、インジスカン王国に行ったときも、魔法で行けたので、パスポートやらビザなど、出国の手続きがあるのを分かっていなかったです。
ご指摘頂いて、やっと必要なのだと知りました。
今の職場はもう退職日を決めておりますが、まだ若干日にちが残っております。その間に必要な手続きを済ませ、正式な手続きでそちらに参りたいと思います。
あと、街から遠いけど土地を提供して頂ける件、まことにありがとうございます。
街に住むか、いっそのこと牧場に家を建てて住もうか悩みどころですが、そちらに行ける日を心待ちにしております。”
汲広の返信は、
“パスポートやビザの件、ちゃんと指摘しておいて良かったです。
これをしておかないと密入国になってしまいますから。
牧場に家を建てるのはいいですね。
ただ、こちらには魔物という恐ろしい生き物が居ますので、くれぐれも注意して下さい。
それでは、準備が整ったらメールを下さい。そちらに迎えに行きますので。
また会える日を心待ちにしております。”
しばらく日を開けて、またメールが来た。
“ご無沙汰しております。五右武路永遠です。
そちらで酪農業をする決心がやっとつきました。
そこでご相談なのですが、ブーキルを飼う土地はありますでしょうか?”
そして、汲広は、永遠への返信として、
“アカツキ領、ハーパヤの街は、中心部は家や商店など。
その外周は果樹園や農作物を育てる場所。
そして、そのまた外周は誰も使っていない土地で、そこなら提供できますよ。
それと、簡単に来られるとは言っても外国。パスポートや就労ビザの取得は忘れずに。
追伸、綿抜一久さんもこちらに来る決心を固めたそうです。
どこの土地を使うかは、彼との話し合いも必要です。”
次の日、永遠から返信が来た。
”パスポートやビザが必要なのは知ってますよ。もうすぐビザが下りそうなので、近いうちにそちらに行けそうです。”
汲広の返信は、
“準備が出来ているならこちらからは何も言うことはありません。
また会える日を心待ちにしております。”
そして、数日後、二人同時にメールが来た。
「一久さんも、永遠さんも、明日からこっちに住むってよ」
「あらまぁ、同じ日なんてすごい偶然ね。またこちらも忙しくなるわね」
そして、汲広の家の前で鉢合わせる一久と永遠。
汲広が到着のメールを受け取ったので、掃き出し窓の魔法で迎えに行った。すると、一久は、
「いやぁ、出国手続きって、普通なら、港やら、空港でするものばかりだと思っていましたが、こちらの国へ来るには船も飛行機も使わないから、出国手続きはどこですればいいの?と外務省に電話したら、外務省で出国手続きをしますという返事だったので、外務省に寄ってから来ましたよ」
と、話してくれた。
永遠もうんうんと頷いている。
そして汲広は、
「こっちの時差は12時間、入国の手続きも終わっている頃だから、今日はウチに泊まって、明日王都で入国手続きをしようか」
と言った。入国手続きが済んだら、土地の配分、柵の設営など、やることは山積みである。
2人増えて、また騒がしくなるアカツキ邸であった。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。





