領地行脚はまだ続く
油田から帰ってきた汲広は、宿でアントネラやその他従者、私兵と合流した。
書き忘れていたが、用心の為、私兵も同行している。なって間もないとは言え、悠生も伯爵、お貴族様なのである。
この村、ゼムリースから、南に一つ、西に一つ村があり、その辺りが境目で、それ以上行くと他の領主の土地になる。
油田は、それらの村に行く直線距離が互いに90度とすると、45度を目指すとたどり着く。ギリギリでうちの領土だよなぁ、油田。と思う汲広なのであった。
村に帰ってきて、アントネラに油田が見つかったことを報告すると、
「まぁ、エネルギーの自給自足が出来るかも知れないのですね」
と喜んでいた。
「交渉事はアカツキ伯爵や国のお偉いさんに任せれば良いだろう。あと、村を2件回ったら、一応、ミラトにも金のなりそうな木が見つかったと情報を入れとかなきゃ」
「お偉いさんって… 貴方も結構なお偉いさんだってこと自覚して下さい」
汲広はアントネラに叱られてしまった。
その後、遅めの朝食を食べてから、南の村、西の村へと回った。景気は平均して、去年と同じくらい、トントンらしい。
家畜を育てよう!という触れ込みも忘れない。おっと、そうだった。酪農も触れ込んでおこうとその二つの村には動物の乳を人間が飲んだり、加工食品が出来ることを言っておいた。
しかし、言うだけでは効果は薄いかも知れない。ハーパヤの街ででも実践して、こういうものだと紹介しないといけないかも知れない。
そんなこんなを汲広は考えながら、一度戻りたかったので、掃き出し窓の魔法を使い、ハーパヤに馬車ごと連れてきた従者や私兵、皆を戻した。
魔力消費がなくて掃き出し窓の魔法が使えるって便利だなぁ。あと、馬車が通れる程大きくしたってへっちゃらって。
どこまで窓を大きく出来るんだろう?興味はあるけど必要が無いからやらないけど。
「まだ旅は続くが、折角ハーパヤに戻ったのだ。一時の休息を取るが良い」
皆を家に帰すことにした。領主邸に住み込みの者も、休息にはなるだろう。そして、汲広とアントネラは代官のミラトに会うことにした。執務室をノックし、
「汲広だ。代官はまだ居るか?」
すると、執務室のドアが開き、
「はい、ミラトで御座います。どうぞお入り下さい」
何だ?その左手の平を水平にしたどこかの国民的アニメのようなポーズ。ミラトはあれを見たことがないはずなので、地でやっていることがある意味怖い。
まぁ、とにかく、部屋に入って話をしようと思う汲広であった。
「ほぅ、あの悪魔の地にそのような資源が眠っているとは!」
「そうなんだ。あそこに大量に眠っていると、日本との立場すら変わってしまうくらい外交上も有利にになるし、何より金になる」
油田の話をした後に、
「この国は、食肉用やら酪農用の牧場がなくて困る」
「それはどのようなものですか?」
ミラトに酪農について簡単に説明する。するとミラトは、
「それは素晴らしい!是非ともやりたいものですな!」
ミラトもノリノリになった。
汲広のペースに慣れたとも言えるかも知れない。
あと、変わったことが無かったかとミラトに聞いてみたが、通常通りだったとの返事だった。それに満足した汲広は、
「ちょっと家に戻ってくる。郵便物が届いているかも知れないし。風呂と夕飯はこちらで摂る。アントネラも戻るか?実家に顔出しするか?」
「そうですね。一度顔を見せるのはいいかも知れません」
そうして、汲広とアントネラは日本の自宅へ戻った。
自宅の郵便受けを覗いて郵便物をチェックする汲広。結構来ていた。
チェックは領主邸に帰ってからにすることにして、土のう袋の魔法に仕舞った。
「パソコンのメールチェックもするかぁ」
汲広は自室に入り、パソコンを起動し、セキュリティソフトのアップデートを行った。
それはすぐ済み、OSのアップデートがあるので、適応後、再起動の指示を出しておいた。アントネラも自室で同じことをしているだろう。
そして、隣の実家に顔を出した。
「あら、まぁ、お久しぶり。元気だった?」
「あぁ、こっちは元気でやってるよ」
時差は12時間。家から出てきたのは母の朋子だった。
父の修司も、妹の朝里も、出勤、登校前で慌ただしくしている。
「アントネラさん、髪、切った?」
「切ってないですよ」
昔やってたお昼の番組じゃないんだから。
「おっと、こんな時間か。行ってくる」
「私も行くね」
「二人とも行ってらっしゃい」
修司と朝里を送り出した後、朋子と少し話をする。
「あちらの様子はどうなの?」
「こっちにあってあっちに無いものが多くて大変だよ」
世間話をして、
「メールチェックをするから一旦部屋に戻るよ」
メールをチェックした。ISOからも来ているな。
内容は、インジスカン王国の公用語であるサーメイヤ語を新しい言葉として登録すること。
そして、汲広が前に送ったサーメイヤ語バッチをもとにして、もうすぐOSにも登録されるそうな。
アップデートが楽しみだな。
そして、戸締まりをして、アントネラと一緒に実家に戻り、
「二人とも、くれぐれも体を大事にしてね」
「分かってるよ。じゃぁ、行ってくる」
汲広とアントネラ、二人はまた、アカツキ領主邸へと戻るのであった。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。





