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異世界マゼマゼ奮闘記  作者: ぷい16
第三章 4人、日本とインジスカン王国を行き来する
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セバスチャン・ハーバーズの述懐

 (わたくし)はアカツキ伯爵の妻君(つまぎみ)であらせられますステファニア様に付いていますセバスチャン・ハーバーズという執事で御座います。


 (わたくし)がカンデラ子爵に(やと)われたのは(わたくし)が21才の頃、ステファニア様は10才でありましたか。


 雇われて早々カンデラ子爵のスティーブ様から(おお)せつかったのは、ステファニア様が成人し、農地改良に乗り出したり、新しい冶金(やきん)の技術に投資したり(など)、ステファニア様ご自身で、領地を良くしようと動いた(さい)に、ステファニア様のスケジュール管理等、ステファニア様に寄り添い、執事の仕事をせよということでした。


 (わたくし)はまだ、その頃は、執事見習い。時が来るまでは、スティーブ様の執事であるメーンフェス・ゴルモットールより、執事の仕事について教わり、立派に仕事をこなせる執事になれとスティーブ様は(おっしゃ)いました。



 その頃のステファニア様は、家庭教師のラメリア・オーガストの目を盗んで領主邸の外のメルタープの街へ出かけ、遊び仲間の同い年くらいの町人、ピボット・テーブラーと共に、メルタープの街を走り回っておいででした。


 ラメリアも、メイドのユートピー・セーノも、授業があるのにとステファニア様が逃げ出す度にメルタープの街を走り回ってステファニア様を毎回のように捜し回っていました。



 あるとき、ラメリアも、ユートピーも、とうとうステファニア様を探し出すことができず、お屋敷へ戻って来て、ステファニア様は日が暮れてからお帰りになりました。


 そのとき、母親のナンシー様に、お土産とか言って、芋虫(いもむし)を差し出し、ナンシー様が悲鳴を上げたのが昨日のように思い出される(ほど)(わたくし)の記憶に鮮明に残っております。



 ステファニア様は、年を追うごとに、やんちゃなことは減って(まい)りましたが、時折(ときおり)、また、メルタープの街に下りて、ピボットとの遊びに(きょう)じておりました。


 回数は減ったとはいえ、やんちゃなお姫様、(わたくし)も、これは一生(なお)らないものと(あきら)めておりました。



 しかし、あの、今の夫君であらせられますユウセイ・フォン・アカツキ伯爵にお会いしてからそのやんちゃがピタッと収まったので御座います。



 ステファニア様は、ユウセイ様とお話しなさっているときは、とても楽しそうで御座(ござ)いました。


 初めは、ユウセイ様は異国の言葉しか知らず、カンデラ家の方々も、使用人も、何を(おっしゃ)っているか、皆目(かいもく)見当が付きませんでしたが、ステファニア様はうんうんと言葉を聞き、カンデラ家の方々に、通訳しておいででした。


 (わたくし)も、理解に苦しみまして、家庭教師のラメリアに、あのような言葉を教えたのかと問いただしたことが御座(ござ)いましたが、そのラメリア自身、ユウセイ様の言葉が分からない。


 どこであの言葉を(おぼ)たのか皆目(かいもく)見当が付かないと言っていました。とにかく、不思議なこともあるものだと思いました。



 ユウセイ様も、徐々にこの国にお慣れになり、徐々に話が通じるようになりました。


 しかし、その後が(すご)かった。文字や単語を覚えるスピードが異常だったので御座(ござ)います。


 普通、読むのに10年かかるスティーブ様に届いた部下からの書類を、ユウセイ様は誰の助けもなく読み上げ、スティーブ様に意見するようになったので御座(ござ)います。


 それも、その意見がスティーブ様も舌を巻く(ほど)の解決方法であり、スティーブ様が、ユウセイ様の()ない間、こそっとメーンフェスや(わたくし)にこぼしたのですが、スティーブ様の意見より効率的で、見通しも素晴らしいとのこと。ひょっとしたら、ユウセイ様は、国元では高貴な出、貴族のご子息(しそく)なのではと(おっしゃ)っておいででした。



 その後もステファニア様もユウセイ様も仲(むつ)まじく(くら)らしており、ユウセイ様の名が王都まで届き、それも、王様の耳にも届き、なんと名誉(めいよ)なことか、王宮でご婚礼を上げることになったではありませんか。


 (わたくし)従者(じゅうしゃ)として飛び上がって喜んだもので御座(ござ)います。ただ、王都は(とお)御座(ござ)います。(わたくし)は付いていくこともできず、その晴れ姿を(おが)むことは叶わなかったので御座(ござ)います。



 それから数ヶ月()った頃で御座(ござ)います。


 王都にいらっしゃった若君や姫君が(そろ)ってお帰りなされた(さい)、やっと、(わたくし)はステファニア様付きの執事となったので御座(ござ)います。



 しかし、最近思うのです。


 先日、ユウセイ様が領地視察で、その地の作物であるラクオーベの実をご試食した際、マナーとしては種を入れる袋を持参してそこに種を()てるのですが、ユウセイ様は平民の(よう)に、口から(いきお)いよく飛ばし、畑に()てたので御座います。



 しかし、お国によってマナーというのは違うと申します。きっとユウセイ様のお国ではそういうマナーなのでしょう。



 とにもかくにも、ステファニア様、ユウセイ様、お二人とも(たぐ)(まれ)なる頭脳の持ち主。


 (わたくし)めが思いも付かぬ方法でご政務をことごとく片付けていくことでしょう。


 その一部始終をこの目で見届けられる執事という職。これは役得(やくとく)御座(ござ)いましょう。


 あのお二方にはどこまででも()いて行く所存(しょぞん)御座(ござ)います。この身が老いて、()()てるまで。

お読み下さりありがとうございます。


ステファニアの友達、ピボット・テーブラーは、Excelの機能からそのまま名前にしました。

ピボットちゃんは暗算と繰り返しの動作が得意です。安直すぎて可愛そう…


地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。

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