新しい能力を与えられました
日本の汲広が眠ってから2時間くらい経ったであろうか。
意識が覚醒かくせいしていき、また、テーブルと椅子とティーセット以外何も無い空間、あの、ミーティング空間に呼び出されていた。
「久方ぶりである。二人とも息災で何よりである」
前にも聞いたセリフ、スキカであった。
「あの、インジスカンの二人は最近会ったと思うのですが」
久方ぶりという言葉にちょっと引っかかった汲広である。
「まぁ、そうであったな」
お茶を濁すスキカ。
隣にはアントネラ、対面にスキカ、いつもの座り順であった。
「今回はここの飾り付けと、お前達に授けたい力があるのでここへ呼び出した」
何か力を授けてくれるらしい。
スキカが汲広の方へ寄ってきて、
「高位の魔法使いであれば魔法でこれを成すものがいるのだが…」
と言いながら、汲広の頭に手をかざすスキカ。
すると、スキカの手が淡い光を放ち、やがて消えた。
「まぁ、お前達の言葉で言うと、テレパシーの一種だろうな」
今度はアントネラにも、同じように頭に手をかざし、淡い光を放って消えた。
「これで、相手の考えていることが分かるようになる。もっとも、ここで試すわけにもいかんがな」
ここに居る皆はリンクしているので試しようがないのである。
「相手が離れていても使えるが、相手の了承なしには使えない」
スキカは元の席に戻りながら続ける。
「それに、相手の記憶や考えていることが読み取れるが、相手が許可している範囲までだ」
スキカが席に着き、
「裏で何を考えているか分からぬ故、過信は禁物だ」
スキカが手を組み、
「あと、移動魔法、そちらの世界では掃き出し窓の魔法と言ったか、魔力を使わずに使えるようにしておいたぞ」
地球からインジスカンへ掃き出し窓の魔法を使うと魔力の減りがバカにならない。
魔力が減らないのはありがたい。
「では、模様替えだが」
若緑色を基調とした壁が四方から迫ってきて、焦げ茶色の床が出現し、天井は枯れ色になった。
基本、洋風の作りだが、明かりは日本の照明のように、昼白色をしている。
16畳程のゆったりとしたスペースができた。
「ふむ、二人の好みを合わせれば、こんなものか」
スキカが飲み物を口にした。続けて汲広とアントネラも飲み物で喉を潤す。
「この間、インジスカンで戦争があったろ?
少しでも相手の心が読めるようにすれば、要らぬ混乱も未然に防げるであろう。
あと、相手の心に言葉を送れるようにもしておいた」
本当にテレパシーみたいなものなのだなぁと感心する汲広。
「あと、インジスカンに居る二人にも、同じ力を授けた。
まぁ、魔法を習得したことにでもすれば良かろう」
スキカは続ける。
「ニーヘロイ星での平和協定もごく一部だし、地球も、魔法が入ることで世界情勢がどんなことになるやら、我も気の休まることはないのぉ」
スキカは愚痴を言った。スキカは真剣な顔をして、
「まぁ、我は指示を出すだけだし、動いてもらうのはお前達、汲広とアントネラに悠生とステファニアなのだが、あえて言っておく。
我はどちらの星にも、戦争して欲しくない」
汲広とアントネラはゴクリと喉を鳴らした。
「我は平和を望む者、そのことは、肝に銘じていて欲しい」
スキカは飲み物を口にした。
「何か、必要な力があれば、我ができる範囲でまた授けよう。
お前達の要望も聞く。何か欲しい能力はあるか?」
「今は特に思いつきません」
「そうであろうな。これはいきなりであった」
スキカはカラカラと笑った。
「我の要件は以上だ。そちらは何か要件はあるか?」
汲広とアントネラは目を合わせ、
「特にありません」
そう、汲広は答えた。
「まぁ、リンクしていることだし、軽い用事ならそれで事足りるだろう。
リンクで会話した結果、こちらに呼び出すこともあるだろう。
要件は以上だ。また、眠りにつくといい」
そうして、汲広は、また眠りにつくのであった。
*
「すっごーい。先生、何で分かったんですか?」
日本の二人がスキカと会話中、インジスカン王国の悠生は授業中であった。
休憩時間に会話を思い出し、次の休憩時間に軽くテレパシーの実験にと、生徒の心を読んだのである。
「まぁ、魔法なんだが、残念ながら、自分にもどうやって使えるようになったのか分からなくてな」
ちょっと照れたように言う悠生。
「うまく言葉に出来ないので、魔法が使える者にも使い方を教えられない」
「えー。そうなんですかー」
ちょっと不満そうにする生徒達。
ちなみに、授業が終わってアカツキ邸での夕食の際、ステファニアも試してみたそうな。
そして、魔法を教えられないというと、やはり、生徒は残念がっていたそうだ。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。





