お咎めなし
インジスカン王国の悠生が眠ってから2時間くらい経ったであろうか。
意識が覚醒していき、また、テーブルと椅子とティーセット以外何も無い空間、あの、ミーティング空間に呼び出されていた。
「久方ぶりである。二人とも息災で何よりである」
前にも聞いたセリフ、スキカであった。
「我は雑用に忙殺されておったが、ちゃんと君等の行動はチェックするしていたぞ」
今度は忘れられていたということはないらしい。隣にはステファニア、対面にスキカ、いつもの座り順であった。
「今回は何故呼ばれたと思う?」
「僕たちのせいで戦争が起こってしまったからでしょうか?」
「まぁ、そんなところだ」
悠生は、最近、良い気分ではなかった。自分たちがもたらしたことのせいで戦争が起こり、多くの血が流れたのである。
「正直、戦争が始まった当初はお前等を叱りつけようと思っていた」
「はい」
「こんな計画を我々が実行しなければ、多くの血を流さなくてよかったのにと自らも責めた」
「はい」
「しかし、戦争は、早期に終結し、ニーヘロイ星の一部ではあるが、平和ムードが広まった」
「しかしそれは、結果論です」
悠生は自分をずっと責めていた。
自分が早急に事を進めなければこのようなことにはならなかったのではないか?もっとうまくいくやり方があったのではないかと。
「しかし、元々のニーヘロイ星の人間は、戦争を忌避する考えは全くなかった。
我々がこのような計画を実行せずとも、お前等を引き合わせたり、お前等に依頼をせずともいずれはどこかで戦争が起こったのではないかと。
それも度々に」
「そうでしょうか?」
悠生は元気が無かった。すると、ステファニアが、
「確かに、ニーヘロイ星の人民は戦争を忌避する考えは全くありませんでした。
いつ、どの国が戦争を始めてもおかしくありませんでした。
私も含め、人民は、平静を装いながらもどこか、戦争に怯えて暮らしていました。
それが当たり前でした」
ステファニアの話は続く。
「確かに多くの血が流れました。
しかし、ニーヘロイ星の一部ではありますが、平和協定が結ばれ、戦争に怯えなくてもいいんだというムードが生まれました。
これを喜ばしく思うと共に、そのきっかけを作った悠生に感謝し、妻として誇らしくも思います」
「まぁ、そういうことであろうな」
悠生はあっけにとられていた。てっきり責められると思っていたが、どうも、そういう雰囲気ではないのだから。
「だから悠生、自分を責めないで下さい。
ニーヘロイ星の人間は、元々そういう人達だった。そういうことですから」
悠生の気は晴れない。しかし、もう少し前向きになっても良いのではないかと思い始めた。
「ということで、本当は叱るつもりだったが結果オーライ。もう叱るつもりはない。むしろ褒めたいくらいだ」
スキカの話は続く。
「しかし、悠生の落ち込み具合と、ステファニアの冷静な判断。
意思疎通が図れていないのではないか?
もっと夫婦で話し合いをせねばならんぞ」
「面目ありません」
「すみませんでした」
結局別の面で諭された悠生とステファニアであった。
「計画は順調に進んでおる。悠生、ステファニア。今後もよろしく頼むぞ」
「はい」
「はい!」
「話は以上だ。呼び出して済まなかった。そちらはゆっくり休むが良い」
そして、二人はまたゆっくりと夢の中。意識が遠のくのであった。
*
インジスカン王国の悠生が眠っている頃、時差が12時間のインジスカン王国と日本。
当然、日本の汲広は起きていた。授業中であった。
(あっちの悠生はスキカに呼び出しを食らったか。しかし、あちらの話し合いに意識を集中している場合ではない。こっちはちゃんと授業を受けなきゃ)
どちらかが寝ていれば、どちらかは起きている。
スキカは基本、寝ている方に呼び出しを掛けるが、どうしても起きている方が居る。
こりゃ、無視する方も大変だと思う日本の汲広であった。
(今はちゃんと授業を受けて、何が起こったか後で思い出そう!)
二つの世界を同時に生き、それぞれの生活を送るのも、それはそれで大変なのであった。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。





