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異世界マゼマゼ奮闘記  作者: ぷい16
第二章 変わり始める互いの世界
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悠生と印刷機

 ある日、日本語学校の授業終わりに、



「先生、いつももらうプリントなのですが、どのように作られているのですか?」


「と、言いますと?」


「紙は上質そうですし、他の生徒の紙も見せてもらったのですが、寸分違(すんぶんたが)わぬ出来(でき)、何か、その、私たちが知らないプリントの作り方があるのではないかと思いまして」


「まぁ、こちらでは珍しい方法で作ってはいるのだけれど…」



 質問してきた生徒は商人の跡取りであった。すると、(まわ)りに()た生徒もそれぞれプリントを他人のと見比べ、



「あ、本当だ。文字が全くズレてない」


「そういえば、字がやたらと綺麗なんだよなぁ」


「こんな紙、貴族が使っているものより上質だぞ」



 この世界の書物は、全部手書きであった。書物としてそれなりに多くを出すものも筆耕屋(ひっこうや)という人が手書きで書き写し、製本する。


 お触れとして世間に知らしめるためにあちこちに張り出す文書もやはり手書き、各貴族に配達される同じ文書の通知もやはり手書きであった。そこに、悠生(ゆうせい)がやって来て、



「あ、悠生(ゆうせい)、生徒がプリントの作り方に興味を持ってしまって…」


「そうか。じゃぁ、一度作り方を見せてみるか」



 もう皆、帰る時間だが、作り方を見せることにしたのである。


 皆、ゾロゾロとアカツキ邸へ歩いて行く。結局生徒、全員来てしまった。


 悠生(ゆうせい)は途中、発電機を回しに行き、自室に生徒を連れて行く。


 パソコンを起動させ、キーボードを打つと、文書ができる(さま)を生徒に見せる悠生(ゆうせい)



「おぉー」



 生徒数が多いので、代わる代わる生徒に見せる。しかし、何をしているのか分かった者は少ないのであった。ちょうど作りかけのプリントの原稿があったので、プリンタに出力してみた。



「おぉー」



 ()り上がったばかりの原稿を(みな)で回し見る生徒達。



「これを人数分プリンタから()り出すこともできるが、僕の方法は違う。次に、このガリ版用紙に写して、この機械で人数分()る」



 そう言うと、悠生(ゆうせい)は、まだ()っていないプリントのガリ版用紙を印刷機にセットし、インクを詰め、紙をセットし、



「このハンドルを回すと印刷された紙が出てくる」



 実際、生徒にハンドルを回させ、紙が出てくるのを体感させた。(みな)、初めて見る機器類に興奮気味だったが、最初に質問してきた商人の跡取りだけは気落ちしたようだった。



「先生、このパソコンというものが使いこなせないと大量印刷は出来ないのですか?」


「いや、ガリ版用紙に鉄筆という筆で、直接文字を書けば、この印刷機なら大量に()れるぞ」


「本当ですか!」


「ああ」



 この子、この印刷機で、何か商売を考えているのだろうか?と勘ぐる悠生(ゆうせい)であったが、(みな)、初めて見るものに目を輝かせていたのであまり深く考えるのは()した。そうして、目的は果たせたので皆を帰らせる悠生(ゆうせい)であった。



     *



 翌日、悠生(ゆうせい)が自室で作業していると、生徒の親がやって来た。何でも、印刷機を買いたいそうだ。生徒の親を自室へ案内し、話を聞くことにした。



「印刷機を購入したいとのことですが」


「えぇ、一度書いたものが何枚でも出てくると聞きまして」



 悠生(ゆうせい)は、印刷機の説明を始めた。鉄筆でガリ版に文字を書く方法、使い方、ガリ版用紙とインクは消耗品で、使えば使うだけ必要であることなど。


 説明をし終えた悠生(ゆうせい)は、印刷機のセットの料金を計算して伝えた。


 悠生(ゆうせい)はこれで商売するつもりはなかったので、日本の販売額そのままであった。5セット買うと言うので、前金で1セット分もらって引き受けた。


 汲広(くみひろ)が休みの日、印刷機のセットを買いに行った。それを、買った(そば)から人目の付かない所で全部土のう袋の魔法に詰めた。


 後日、悠生(ゆうせい)が、その商店に出向き、印刷機のセットを渡して代金を貰った。



 印刷機が売れたことによって、この世界がどのように変わるか分からない悠生(ゆうせい)であった。



 その後も度々印刷機は売れていった。噂に聞いた話では、とある本屋が大量の本を出し始めただとか、筆耕屋が大量に解雇されたが、新たに出来た本屋によって雇われたとか、徐々に本の値段が下がったとか。


 これからも、本にまつわる話は変化していくであろう。

お読み下さりありがとうございます。


地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。

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