カンデラ領主邸での一時の歓談
土地改良が終わった次の日、悠生は兄姉であるシフォン、マイク、リサに提案をしてみる。
「2日後辺り、一度カンデラ領に戻りませんか?」
すると、代表してマイクが、
「何故だ?必要なら君以外、皆、掃き出し窓の魔法を使えるのだから自由に行き来できる。何故皆で揃って行くのだ?」
悠生は、皆で揃ってとりとめのない話をするのもたまにはいいのではないかとか、家族の団らんは大事等、説明してみると、
「君がそう言うなら、そういったこともした方がいいのかも知れん。分かった。朝から講義の準備前までカンデラ領に行くことにしよう」
カンデラ領へ行くことが決まった。
悠生はまた教材作りに部屋にこもった。
今まで農地改革につきっきりで休みが無く、王都のアカツキ邸予定の邸宅は、未だ手つかずであった。
さらにはハンサム伯爵の従者がいくらか残るとはいえ、ハンサム伯爵について行く従者もいるのである。おまけに王都ではハンサム伯爵邸はそのまま残るため、人員の割り当てはない。
人員確保はしなければならないのである。
やることは山積みなのである。
そんな、忙しいさなかのちょっとした息抜きがしたかったのである。そこで、カンデラ領へ行くことを提案したのであった。
悠生は1日分の教材を作り終えた後、カンデラ領の領主邸に行った。
執事を見つけて明後日兄弟揃って訪問することを伝えた。
義父のスティーブは領地視察で留守であったが、義母のナンシーがいたため、ナンシーにも伝えた。義母は、家族が全員揃うことを喜んでいた。
手配も済んだところでまた、王都邸の自室に戻り、作業をする悠生。途中、昼食を挟み、また教材作りに戻る悠生。
(そろそろ実習に、日本語教室の生徒とサーメイヤ語教室の生徒を合わせるのもいいかも知れないなぁ)
などと考えていた。
*
その日の講義が終わり、ステファニアに、
「新しいアカツキ邸が住めるようになったら、一度、実習に日本語教室の生徒とサーメイヤ語教室の生徒を会わせてみないか?」
「いいんじゃない?悠生や私の発音の反復ばかりで実習足りてないみたいだし」
「そうか。賛成してくれるか。じゃ、新しいアカツキ邸の用事をちゃっちゃと片付けて、次の段階へ進めないとな」
悠生にあまり暇はなかった。自分で仕事を作りすぎな部分もある。ひょっとすると彼は、苦労性なのかも知れない。
「あ、そうそう、新しいアカツキ邸の従者も募集しないとな」
「じゃぁ、それは私が手配しておくわ」
「ありがとう。助かるよ」
従者の手配はステファニアがしてくれることとなった。
次の日も講義までは教材作りに明け暮れ、それが終わったら授業の本番。
ステファニアは必要な人員を計算し、従者募集の手配をこの日のうちに済ませてくれたようだ。そして、翌朝になり、マイクが代表で掃き出し窓の魔法を使ってカンデラ領の領主邸へと行くのであった。
カンデラ領へ着くと従者や義父のスティーブや、義母のナンシーが出迎えてくれた。
スティーブは今日も近くの村まで視察に行くが、午前中だけで、昼食以降は一緒に居てくれるそうだ。
そこで、午前中は各々好きなことをし、昼から家族で歓談というスケジュールになった。
*
昼食時にはスティーブも戻り、歓談しながらの昼食となった。
スティーブが、悠生に娘や息子の授業の成績はどうかと聞かれ、「めきめき上達しています」とか、「優秀ですよ」とか言った。
実際3人は優秀で、それに、プリント配りやら、雑用も手伝ってくれている。本当にこの3人が居てくれるお陰で助かっているのである。
昼食が終わり、お茶をしながら歓談の続きをすることになった。すると、スティーブが、執事に指示を出し、従者が2人やって来た。
「ステファニアや、かなり遅れたが、この従者2人をお前に付けてやる」
「執事のセバスチャン・ハーバーズです」
「メイドのユートピー・セーノで御座います」
メイドのユートピーは、10才くらいからずっと世話をして貰っていたため、ステファニアも連れて行けるなら嬉しかった。しかし、セバスチャンはあまり馴染みがなかった。
「まぁ、ユートピーは何故付けるのか説明せずとも分かるだろう。
セバスチャンは、ステファニアが一人前になってから、お前に付けようと前々から思っていたのだ。
従者としては優秀だから役に立つであろう」
従者を募集していたところなので、これは助かる。悠生は素直に、
「従者を募集しているところなので助かります」
と告げると、
「では、従者が揃って、人材教育が必要になったらうちの王都邸の人間を派遣してやろう。従者の経験がある者ばかりが集まるとは限らぬのでな」
悠生にとってもステファニアにとってもありがたい提案であった。
「ありがとうございます。お義父さん、お義母さん」
「ありがとう、お父さん、お母さん」
そうして、また普通の歓談に戻り、たわいもない話しで盛り上がった。やはり、家族団らんは良いものだなと思う悠生であった。
そうこうしているうちにあっという間に時間は流れ、午後3時頃となったところで、
「お父様、お母様、そろそろ講義がありますので、そろそろお開きに」
「おぉ、もうそんな時間か。時の経つのは早いな」
歓談はお開きとなった。皆、名残惜しそうであった。
「バラバラに来るのもいいが、また、兄弟揃って来るといい。歓迎するぞ」
「本当に、また来てね」
そう、スティーブや、ナンシーに言われれば、皆、また来ようと思うのであった。
そうして、今度はシフォンが掃き出し窓の魔法を使い、王都のカンデラ邸へと戻っていったのであった。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。





