悠生、貴族になり領地をもらう
悠生とステファニア、ステファニアの父のスティーブは王城に呼ばれていた。何でも、王都にいる貴族で会議があるらしく、そこに呼ばれたからだ。
「お父様は分かるけど、私たちは何で呼ばれたんでしょう」
「さぁ?」
大勢の貴族が集まるとあって、結構な広さの、豪華だが派手すぎず、落ち着いた部屋だった。
「いつもの席ではないのですね」
従者に案内されて、端の方に、3人並んで座った。どうやら、スティーブは、いつもの席ではないらしかった。悠生が落ち着かずにそわそわしていると、続々と他の貴族が入ってきて席が埋まっていく。
「ハンサム伯爵、こちらは無事、例年通り税を納められましたが、景気はどうですか?」
「あぁ、これはこれはグロス伯爵、うちの職人は皆働き者で、武器、防具や道具類は例年通り納められそうなのですが、ここのところ、土地が痩せてしまって、穀物が捕れずに税収が減って、困っていますよ」
「互いに領地経営には苦労しますなぁ」
「本当にそうです」
親しい貴族同士の雑談が始まる。互いに領地の治安だとか税収の話での苦労話である。
税収が上がった者、下がった者、皆、大変さが分かる者同士、慰め合っていた。
最後の貴族が入ってきてしばらくした頃、扉が開いて、
「王様がお見えになりました」
貴族たちはその場で敬礼をする。悠生やステファニアも習って敬礼をし、国王を迎える。国王が上座の席に着き、
「皆の者、楽にせよ」
その言葉で敬礼を解く貴族たち。
「それでは、会議を始めるとするか」
その会議では、各々の領地での犯罪件数や、犯罪の傾向、武器や防具や道具類、穀物などの税収の報告があった。一通り聞き終えたジョージ国王は、
「各々の領地での増減はあるが、合わせてみると、ほぼ例年通りだな」
安堵するジョージ国王。
「ところで、レオニー・ハンサム伯爵」
「はい!」
「そちは済まぬが、新しい大地、今はカンデラ子爵が管理する大地に行ってはもらえぬか」
「えっ、あの、何も無いという荒れ地にですか?」
「うむ。あの空き地に移って町を興してもらいたいのだ」
ハンサム伯爵はショックだった。
ハンサム伯爵には経験があった。以前、何も無い土地から人を集め、領地邸を立て、街を興してやっとこの20年、街が軌道に乗ったのだ。
それが、また、何も無い土地であの苦労を…
「レオニー・ハンサム、承知致しました。必ずや、人と物で溢れる、活気のある街を興して見せます」
笑顔でそうは言ったものの、額からは冷や汗が流れていた。
本当はイヤだと突っぱねたいところだったが、王の意向には逆らえなかった。
「そこでだ。ユウセイ・アカツキ」
「はい!」
悠生には分からなかった何故そこで自分が呼ばれたのか。
「そなたには一代男爵の爵位を与え、今のハンサム領を、これからオカツカ領に改め、そなたの領地とする」
「はっ!ありがたき幸せ」
訳も分からず会議に呼ばれ、爵位を与えられ、その上領地まで貰ってしまった。悠生はもう訳が分からなかった。
「そして、ステファニア・フォン・カンデラ」
「はい!」
「そなたはこれからステファニア・フォン・アカツキと名乗るがよい」
「はい!」
ステファニアは結婚式を挙げた後、普通は名字を改めるところだったのだが、国王から協議中という理由で、旧姓そのままの、ステファニア・フォン・カンデラを名乗っていたのであった。
悠生はハンサム伯爵からキッと睨まれてしまった。歯をかみ殺し、恨めしそうな表情で。悠生は俯いて、その目に耐えることしかできなかった。
「ユウセイ・フォン・アカツキ男爵」
「はい!」
「今のハンサム領の、ハンサム伯爵が連れて行く以外の、残りの使用人の面倒を見てくれ。そして、ハンサム伯爵が街を興した暁には、皆、ハンサム伯爵の元へ行かせるからそのようにな」
「はい!」
かくして会議は終わった。
悠生は平民?から貴族になった。
その後の話で、ハンサム伯爵の王都での邸宅は、そのままハンサム伯爵のものとし、カンデラ子爵邸の近所に誰も住んでいない邸宅があるから、その邸宅を悠生が使わせて貰うこととなった。
これからが大変である。日本語教室の運営と、領地運営、それに、その空き家となっていた邸宅を、人が住めるものにしなければならないのだから。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。





