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異世界マゼマゼ奮闘記  作者: ぷい16
第二章 変わり始める互いの世界
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スティーブ・フォン・カンデラへの直談判

 朝、起きて、見かけたメーンフェスを呼び止め、



「お父様に悠生(ゆうせい)と三人でお話しがあるのだけど、空いている時間あるかしら?」


「スティーブ様に直接聞くのではなく、私を通されるとなりますと、何か重要な案件でしょうか?」


悠生(ゆうせい)の便利道具と、その輸入に関してよ」


「分かりました」



 メーンフェス・ゴルモットール。彼は、ステファニアの父、スティーブに付いている執事である。父に話す内容は商談のため、筋を通して執事を通したのである。



「予定が変わらなければ、午後4時から夕食時まで時間が空いてますが、この時間でよろしいでしょうか?」


「ええ。かまわないわ」


「それでは、午後4時からで承りました。スティーブ様にもこの(むね)お伝えします」



 結婚式から二日後、まだ、カンデラ家一行と悠生(ゆうせい)は王都に()た。


 スティーブは妻のナンシーと一緒に、王都まで来ないと会えない他の貴族との交友で忙しかった。ステファニアの姉であるシフォンや、兄であるマイクも、それぞれ交友も楽しんでいたが、(もっぱ)ら、リサと一緒に観光に出歩いていた。


 悠生(ゆうせい)とステファニアは、交遊するにも知り合いはなく、(もっぱ)ら観光に出歩いていたのである。そして、午後3時頃に悠生(ゆうせい)とステファニアだけ家に帰り、少し作戦会議をした後、午後3時半にもスティーブとナンシーが戻り、メーンフェスが呼びに来た。



「ステファニア様、悠生(ゆうせい)様。少し予定より早いですが、スティーブ様が戻られましたので、お部屋までどうぞ」



 そして、案内され、スティーブの書斎へ向かったのである。



「…とまぁ、これだけの機材が欲しくて輸入したいわけですが、とりあえず、早めに欲しいものは印刷機です」


「それで、私が後ろ盾になり、私の金で、輸入しろと?」


「はい。そういうわけです」



 この世界には印刷機が()かったのである。


 一部芸術で、版画はあったが、小さな用紙の版画しかなく、また、それに文字を彫って印刷するということもなかった。


 印刷機は人材を育成する(ため)、教材作りに是非(ぜひ)とも欲しかったのである。そして、スティーブはしばし考え、



「よし、分かった。その、印刷機とやらの購入代金は私が捻出(ねんしゅつ)してやろう」


「やった!」


(ただ)し、予算を出すからには、きちんと成果を出してもらわなければならんぞ!」


「はい!」



 そうして、悠生(ゆうせい)とステファニアは軍資金となる(きん)を得たのである。



     *



 (きん)は、ステファニアの手によって、土のう袋(どのうぶくろ)の魔法で異次元に入れられた。それを、日本にいるアントネラが受け取り、汲広(くみひろ)が買い取りもする貴金属店に行き、日本円に変えた。


 それを元手に汲広(くみひろ)とアントネラが連れ立って、ガリ版印刷機とガリ版のシート、紙に書いた物をガリ版に転写する装置、ガリ版のインク、そして、コピー用紙を購入し、余ったお金は一応、汲広(くみひろ)の口座へ一時的に預け入れられた。


 ガリ版の用紙とガリ版のインクとコピー用紙は何とか持ち歩きができるが、ガリ版印刷機と転写装置は大きくて重い。その二つは、店から台車を借りて一旦(いったん)店を出、人気のない所で土のう袋(どのうぶくろ)に納められた。ついでにガリ版の用紙とガリ版のインクとコピー用紙も土のう袋(どのうぶくろ)に納めた。



 家に帰った汲広(くみひろ)とアントネラは、転写装置を汲広(くみひろ)の自室に設置し、あらかじめ用意していた、インジスカン王国の公用語であるサーメイヤ語のあいうえおの表を転写装置でガリ版シートに転写し、ガリ版印刷機にかけて一枚刷ってみた。見事あいうえおの表がコピーされて出てきた。二人は安堵(あんど)した。そして、印刷機を、その印刷できる状態のままで土のう袋(どのうぶくろ)に納めた。



     *



「それではこちらでしばらくお待ちください」



 メイドの案内で、スティーブ、悠生(ゆうせい)、ステファニアはとある部屋に通された。30分程待たされてまたメイドの案内で、両側を鎧を着た兵士を従える、とある大扉の前まで案内された。



「どうぞここから中へ。国王がお待ちです」



 そう、悠生(ゆうせい)が軍資金を融通(ゆうずう)してもらったときに、ついでにスティーブに王様への謁見の予約も頼み、今、それが叶ったのである。



「印刷機とな、それはどのような物だ」



 ステファニアが印刷機を出し、悠生(ゆうせい)が実演に、3枚(ほど)用紙をコピーした。この印刷機は手回しで動作し、電気は()らなかった。



「おぉ、これはすごい。かように同じ文章を何枚も書き出せるとは」



 王様の関心を()いたところで悠生(ゆうせい)は、通訳を育てたいこと、便利品を輸入したいこと、日本とインジスカン王国との間に国交を結んで欲しいことなどを話した。



「ふむ。確かに便利な品物を輸入できることは国益に(つな)がる。しかし、一方的にこちらばかり物を買うとなると、こちらが不利な気がするのだが」


「いえ、国交が結ばれれば、こちらの品物も買ってもらえばいいでしょう。

 そして、日本とインジスカン王国の行き来は、現在、ステファニアしか出来(でき)ません。

 いずれ、インジスカン王国から日本へと人が流れてその中に掃き出し窓の魔法が使える者がいて、その者も行き来できるようになるかも知れませんが、掃き出し窓の魔法は習得が困難。

 元々魔法が()かった日本人に、掃き出し窓の魔法が使える者が()るはずもなく、国交はインジスカン王国が握っていると言っても良いでしょう」



 何とか取り繕う(とりつくろう)悠生(ゆうせい)。すると、国王はしばらく考えて、



「良かろう。通訳とやらを育ててみよ。人材はこちらで募集する。便利な品々の輸入と国交については臣下と話してみて決めるものとする」


「お聞き入れくださり、ありがとうございます」



 悠生(ゆうせい)は、とりあえず、こちらの世界では話が進んだと喜んだ。



「臣下と話し合った結果は後日、使いを出そう」



 帰りの馬車に()られる三人。すると、スティーブは、



「これだけのことをすれば、世界は変わるな。人材を育て、よく学ばせ、いずれはインジスカン王国、いや、カンデラ領で、かような道具を作れるようにならんとな」



 スティーブはスティーブで、思惑があるようである。


 悠生(ゆうせい)の夢は(ふく)らんでいた。


 インジスカン王国側には、日本の素晴らしい技術をよく学んでもらいたいと。


 日本はインジスカン王国の魔法を学んでもらい、より、豊かな国になることを。


 そう、悠生(ゆうせい)はつゆほども思いもしなかった。この交流が、新たな火種を生むことなど。

お読み下さりありがとうございます。


地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。

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