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異世界マゼマゼ奮闘記  作者: ぷい16
第二章 変わり始める互いの世界
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二人だけの国交樹立のための会議

「インジスカンには足りないものが多いんだよなぁ~」


 汲広(くみひろ)は風呂、宿題、教材の入れ替え等、明日の準備を手早く済ませ、用意が済んだ頃、アントネラを招き入れ、開口一番、こんな事を言った。


 事実、なまじ魔法という便利な現象にどっぷりと()かり、特に不便を感じないため、科学の分野があまり育っていないのである。だいたい、統計という分野すら、論理的に見て穴だらけであった。汲広(くみひろ)はインジスカンに足りないものを()げてみる。



・電気

 ├発電機

 ├インバータ等

 └バッテリー

・筆記用具

・印刷機

・本



 そして、文化交流に必要なものを()げてみる。



・掃き出し窓の魔法

・通訳

 ├育成する人材

 ├カルチャースクール

 └学校

・時間

・お金



 あ、そういえばと、アントネラは思い出したことを言う。



「インジスカンの悠生(ゆうせい)にだけど、タブレットの充電、何とかなりそうよ」


「あぁ、それ、問題だったな。どんな方法?」


土のう袋(どのうぶくろ)の魔法ってあってね、普通はそこに物を入れて、手ブラで物を運べる便利魔法なんだけど、試しに、私と、インジスカン側の私で一斉(いっせい)に手を入れたのよ」


「すると?」


「手が触れ合ったのよ。土のう袋(どのうぶくろ)の魔法は私と、インジスカン側の私とで共用だったのよ。でね」


「共用だから、インジスカン側でタブレットを入れて、こっち側で受け取って充電すればいいって訳か。逆の手順でインジスカン側に返してやれば満充電のタブレットが手に入ると。それって、魔力消費量的にどうなのよ?」


「魔力消費量はお互い、普通の土のう袋(どのうぶくろ)の魔法と変わらなかったよ。マナの総量の 1/20 もかからないかな」


「それスゴイじゃん!日本側で物をポンポン入れてやれば低魔力消費量でインジスカン側で取り出せるってことだろう?スゴイ発見じゃん!」


「どうよ?私が本気を出せばこんなものよ」



 アントネラは得意気(とくいげ)であった。事実、二人にとって、物を送るこの方法は、かなり重要な発見なのである。



「輸送手段は確保したとして、問題はお金だな。こっちに便利道具が色々あるからといって、それを買わないと、送って使うことができない」


「それに関してはお父様と相談してみるわ。お父様の領地って、職人が多いのよ。それで、新技術については出費をあまり惜しまないから何とかなるんじゃないなか?」


「おぉ。それはありがたい。1台買って、王様に見せれば、国内に普及(ふきゅう)するかも()れないね」



 汲広(くみひろ)には、多難な道のりに、少しだけ光明が見えた気がして嬉しかった。そして、次の問題点を出してみる。



「互いに通訳の候補者を出してもらって二人で育成しないとなぁ。通訳が二人だけだと若いだの経験が浅いだの難癖(なんくせ)()けられるに決まってるし」


「インジスカン側は王様に話してみればいいんじゃない?電卓を見せたことで、悠生(ゆうせい)の便利道具に関心を持っているようだし、損得も考えるだろうけど、それは、私たちが考えても王様の気持ちなんて分からないし」


「だな。で、日本側は、”出入りはインジスカン側の魔法というこちらでは使い手がいない技術のみでしかなし得ないから通行をあちらに牛耳られてままでいいのか”とでも言えばいいかな。掃き出し窓の魔法の難易度については伏せたままにして…」



 これは通訳の話を飛び越えて、もう交流の未来の話も混じっている。しかし、その点を突くような人間はこの場にいなかったので、未来予想図の話はまだまだ続く。



「カンデラ領って、大きな川、流れてない?発電機と、電気を安定させる為のバッテリーを持って行って、水車でも回せば一応電気は作れるんだけど」


「私の家、カンデラ子爵邸のある街ってメルタープっていう名前なんだけど、そのちょっと西側にちょうどカンスー河っていう大きな河が流れてるからそこに小屋ごと水車を建てればいいんじゃない?」


「おぉ。それは助かる。電気がないと説得力に欠けるからなぁ」



 二人の描く、未来予想図は止まらない。その実現にどれだけの障害があるのか、やってみないと分からないのだから。



「あと、同時進行で国交も樹立させたいなぁ。さっきも言ったけど、通訳者に難あり!とかいちゃもん付けてくるヤツが()そうだもの。それで、大使を立ててもらって、それぞれの国に大使館が出来(でき)るって。夢は広がるなぁ」



 あと、汲広(くみひろ)はこんなことも言ってみる。



「夢ってぇのは大きい(ほど)いいんだよ。夢に描けなきゃ、困難な道なんて、すぐに()たれちゃうんだし。夢なんて持たなければ何も変化は生まれないけど、夢を持って、行動に移したら、少しは夢の近くへ行けるってもんだ」



 そう、困難な道だからこそ、理想を立てて、目標に近づくために行動を起こそうという汲広(くみひろ)。すると、アントネラは、



「夢と言えば、私にとって、この国は夢のような世界だわ」


「と言うと?」


「インジスカン王国って、隣国にウーバルー帝国っていう国があって、その国がまた好戦的で、ウーバルー帝国の周辺国は、いつウーバルのヤツが攻め込んで来やしないかと、いつも危機感を持ってるの。だから、こんな進んだ世界で、それも戦争とはほとんど無縁。そんなこの国が夢のようだなって」


「この国が気に入った?」


「うん!とっても」



 そうか。と言う汲広(くみひろ)。日本生まれの日本人。戦争というものは想像することしか出来ないが、戦争に(わずら)わされず、自分のやりたい事を結構許容してくれるこの国の事は汲広(くみひろ)も好きであった。そんなところをアントネラと共有できて、嬉しかった。



「あとは、まずはインジスカン側にほとんど動いてもらってその結果を(もっ)てこちらも動くってことになるかな」



 とりあえずの行動を考えてみると、あちらに動いて(もら)わないと、こちらにできることは少ないことに気付く汲広(くみひろ)であった。



「それじゃぁ、今、こちらでこれ以上話しても先に進まないわね」



 そう返すアントネラ。



「それじゃぁ、第一回目の会議は終了しますか」


「そうしましょう」



 まだ何も実現できていないが、実りある時間を過ごせたとご満悦(まんえつ)汲広(くみひろ)であった。

お読み下さりありがとうございます。


地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。

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