アカツキ伯爵、テレビを買う
教科書を全て配り終えたある日、領地側の汲広から念話が届いた。
(アカツキ伯爵、今、大丈夫ですか?)
(大丈夫だが何だ?)
(神代魔法の中級編をスキカから授けてもらいました。早めに教えようと思いました)
(おぉ、もうもらったか。勉強しておく)
(私も読解中です。以前のようなズルはできませんよ)
(あぁ、分かってる)
(それと、こちらでは、日本のテレビと無線を聴けるようにしました)
(おぉ、暇つぶしとか、息抜きに良さそうだな)
(そちらはいかがしましょう)
(そうだな。見繕ってくれ… と言いたいところだが、こちらも時間に余裕ができた。こういったことは汲広に頼ってばかりだったな。こちらで用意するからそちらはそちらの事をやっておいてくれ)
(はい、分かりました。以上です)
(では、励めよ)
(はい)
今、時間に余裕があるため、テレビや受信機の購入から設置するまで、汲広の記憶を思い出してみた。
やはりこれくらいならできるなと思ったアカツキ伯爵は、ステファニアに相談しに行った。
「ステファニア、ちょっといいか?」
「はい。何でしょう?」
アカツキ伯爵はステファニアの私室に入る。
「今、汲広から念話があったのだが、神代魔法の中級編の知識を授かったそうだ」
「まぁ、またあの続きができるのですね」
「それと、あちらでは日本のテレビと無線を聴けるようにしたらしいが、こちらでもしないか?」
「それは良い提案ですね。もう、夜の10時。日本ではそろそろ電気屋が開店している頃ですわね」
「テレビを買いに行くか?受信機の方は私が見繕っておくから」
「そうですわね。行きましょう」
アカツキ伯爵は一度、実家に寄り、荷物を預かってもらえないか母の朋子に話しをすると、
「またなの悠生、この前あんなに買ったばかりなのに…」
「仕方が無いだろ!こっちは分身していて分身体にはそれぞれ分身体の生活があるんだから」
「…はぁ、息子がこんなにややこしいことになるとは。分かりました。受け取っておくわよ」
「ありがとう!母さん!」
そう言うと、悠生とステファニアは家電量販店へ行くのであった。
家電量販店では、テレビとテレビ台とBDレコーダーを2台ずつと、アンテナケーブルと分配器とコネクタの足りない物を買った。
こちらのステファニアは、ちゃんと好みのものを選べた。
ステファニアはここで返して、無線屋へ行って、オールモードの受信機を2台にアンテナケーブルを買った。
分配器は汲広の買った物で足りる。
アカツキ伯爵は王都の領主邸に帰り、買った物をとりあえず自室に置いて、その日は眠ることにした。
次の日、悠生は、授業終わりの会議を済ませ、領主邸に戻り、風呂、食事を済ませてから、
「さぁ、配線するぞ!」
テレビの配線と無線の受信機の配線をするのであった。
「まぁ、大きなラジオですわね」
「まぁ、機能満載だからな」
「これ、貴方の知識で扱えますの?」
「ああ。これを使うときは僕の知識を参考にしてくれ」
まだテレビは到着していない。
なので、テレビは配線だけ。
受信機は在庫をそのまま持ち帰ったのでもう設置済みだ。
「これで、テレビ類が届いて設置すれば終わりだな」
数日後、テレビが日本の実家に届いた。
アカツキ伯爵は取りに行くと、朋子は、
「あなたたちはもう、同じ物を買って… もういいわ。片付かないから早く持って行ってちょうだい」
母に呆れられてしまった。
アカツキ伯爵は王都の領主邸に帰り、テレビ台の組み立てと、テレビとBDレコーダの設置をした。
「ステファニア、これで日本のテレビが見られるぞ」
「まぁ、こちらでテレビが見られるようになるなんて」
電話もインターネットもできるように揃えた。
しかし、テレビが見られて、ラジオが聴けることはまた別の意味で嬉しいらしい。
次の日から、こちらのアカツキ伯爵とステファニアも、神代魔法の中級編の読解に入った。
最初に汲広の解釈をざっとチェックしたが、確かに… あまり進んでいない。
仕方がないので、アカツキ伯爵は、汲広が読解を進めたところまでを自分の知識に取り入れ、その続きから読み進めるのであった。
王都組のアカツキ伯爵とステファニア、領地組の汲広とアントネラ、今では継承が途絶し、廃れてしまって誰も知ることができなかった神代魔法の中級編の読解作業を進める4人。
これは後に大きな力を発揮し、後の危機を乗り越える大きな糧となるのだが、それを知る術のないこのときの4人には、ちょっと便利になるだろうくらいの気持ちでいるくらいでしかなかったのであった。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。





