【エピローグ】
あおいと恋人になって、もう半月くらいになる。
俺は学校が再開していた。
あおいはと言えば、学校に行くわけにもいかず。
お家でお留守番。
もはや主婦みたいになっていた。
そんな日々が続いたある日。
あおいが言い始める。
あの岩に行ってみたい。
恵と子供のころに過ごしたあの岩に、もう一度行ってみたい。
俺はそのお願いを聞いて、あおいともう一度その岩に行ってみることにした。
ガレージの奥底に長い間押し込められていたゴムボートを出して。
小型ポンプで膨らませていく。
完全に膨らませてから、空気漏れなどがないかを確認する。
膨らませたことをあおいに報告して、海岸からそのボートに乗って。
出発進行。
あおいのナビゲートをたよりに、ボートをこぐこと7分くらい。
大人5人くらいが座れるくらいの岩を発見する。
【あおい】
「あれだ、あの岩だよ」
その声を聞いてボートを岩に近づける。
先にあおいを岩にあがらせてから自分も岩に登って、ボートを引き上げ、岩の上で二人で座る。
【あおい】
「ここだよ、初めて恵と会ったのは」
【恵】
「小さなころはここまで泳げたんだね、今になって考えると信じられないよ」
【あおい】
「今ならきっと、また泳げるはず」
【恵】
「そうかもね、でもフェンス越えるのは怖いなぁ」
【あおい】
「そうだね、確かにそれはボートなしだったら危ないかもね」
【恵】
「うん」
あおいと手をつないで岩場に座る。
しばらくぼんやりと海を眺めている。
するとあおいが不意に海に向かって手を振っている。
気になってその先を見ると、何かが海中に潜っていく。
【恵】
「もしかして、今のは?」
【あおい】
「テレーザ、良い人よ」
【恵】
「俺は見れなかったな」
【あおい】
「それでいいのよ」
【恵】
「そっか」
そのあとしばらくの沈黙。
【あおい】
「この場所にまた恵と来れて嬉しかった、それに、テレーザが見てたって事は、帝国のみんなにも私のことは伝わるはず」
【恵】
「あおいは人魚に戻りたいとか今は思わない?」
【あおい】
「おもわないよ、だって、こんな素敵な人と、こうやって暮らせてるし、そして何より、自分の好きな人と恋人になれた、恵はわたしと付き合ってて何か困ったことはない?」
【恵】
「ないよ、嬉しいことはあっても、嫌なことなんてないよ」
【あおい】
「そう、よかった」
あおいはそのまま言葉を続ける。
【あおい】
「わたしね、人間になる道を選んでよかったと思ってる、だって、いろいろなことを知れたし、恵ともう一度会えたから」
【恵】
「そういってもらえると嬉しいよ、俺もこれからも色々おもしろいものを見せられるようがんばるよ」
【あおい】
「何も知らないわたしだけど、よろしくね」
【恵】
「こちらこそ」
俺たちそう言いながらがキスをした。
あおいといつまでも、楽しく暮らして、時には困難にぶつかって。
それでも、過ごしていけると思う。
あおいは俺に会うために、命を捨てるほどの覚悟を持っている人だし。
これからもずっとずっと、こんな幸せな時間を過ごせることを心の中で強く願った。




