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あおいと俺  作者: FATMAN・BAGGIO
17/22

【海岸デート】

昨日から恋人になったあおいと俺。


すごくウキウキしながら朝から過ごしていた。


昨日はみやの邪魔が入ったせいでキスできなかったけど。


今日こそはなんてすこし意気込んでしまう。


「あおいと呼んで」といわれてから一気に気持ちの上で大きく何かが変わった。


それでも、積極的にあおいをデートに誘おうなんてきぶんになってきている。


あおいが好きだといっていたカキ氷を作りながら色々考える。


どうやったらもう一回あの雰囲気が作れるかなとか。


しかも今日はあおいが家にやってきてちょうど一週間。


小さな変化かもしれないけれど、小さなこの記念日に何かをプレゼントできればなんてことも考えてしまう。


それでもお金が無いから、今はこうしてカキ氷をプレゼントしようと必死だったりする。


そんなことを考えながらやっと出来上がったカキ氷を二つ。


お盆に載せて茶の間に持っていく。


あおいはなぜか少し元気が無かった。


少しそれは気になったけれど、今はそれを気にするよりも、とにかくこの暑く張りついている。


暑さを何とかしようと言うほうが先だった。


【恵】

「あおい、できたよ」


【あおい】

『ありがとう』


ふたりでそろっていただきますをしてから、カキ氷に手をつける。


今日はちょっと恋人意識といったら変だけれど、二人そろってイチゴを味を食べる。


二人でペースに気をつけていたはずなのにいきなり頭が痛くなって、二人でそろって苦しみ始めたり。


なんとか二人そろってカキ氷を食べ終わる。


するとあおいが突然言い始める。


【あおい】

『今日も海がみたいんだけど良いかな?』


【恵】

「いいよ、今日は夕焼けじゃなくていいの?」


【あおい】

『うん、海が見てたいの』


【恵】

「わかった、それじゃあ、行こうか」


昨日と同じ支度をして家を出る。


戸締りもしっかりして、いざ海へ。


昨日と違うところといえば、出かけるときからしっかりとあおいと手をつないででかけているということだ。


でも、なんだかあおいの元気が無い。


何かないかと模索しながら、気付けられればなんて思いながら、砂浜を歩く。


あおいに手を引かれて、砂浜をうろうろする。


どちらかといえば、この人がたくさんいる中、どこか人気の無いところを探し回っているような、そんな印象を受けた。


そして、人ごみが無いところを探し回っているうちに、日は傾いて、だんだん夕方になっていく。


あまり今回は目立った会話はしていないけれど、俺の中ではけっこう楽しめたのではないかなと。


そう思っていた。


そして結局、誰もいないところとして、あおいは選んだのは海の中だった。


あおいの手を引かれて、海に入っていく。


【あおい】

『もっと、深いところに行きたい』


【恵】

「さすがにびしょびしょで帰るのまずいけど、腰くらいまでなら良いよ」


【あおい】

『ありがとう』


【恵】

「大丈夫?メモ帳とか濡れない?」


【あおい】

『大丈夫、海から水平線が見れれば満足だから』


【恵】

「そっか、分かったよ」


あおいの言葉を受けて、また恋人つなぎで手をつなぎ、海の中へと入っていく。


あおいは最初少し躊躇したようだった。


少し俺の手を強く引っ張っている。


そして遅れているいる手を少し強引に引っ張ると、あおいがあとからついてきた。


本人が水平線が見たいといっている。


だったら俺にできることはただひとつ、あおいを水平線の近くまで連れて行ってやることだ。


ばしゃばしゃと水をかき分けて進んでいく。


手だけをつないで、沈黙している二人。


水平線がよく見える少し沖まで来たころには、日差しが少しずつ傾いていた。


真っ青だった空が、徐々に茜色へと変わり始める。


そんな時間帯。


水平線を見つめて二人でぼんやりと立ち尽くす。


あおいも俺も何も話さなかった。


あえて言葉はいらないと思った。


でも、その沈黙の中で紡がれていく二人きりの時間。


波が海岸に打ちつける音だけがする、二人だけの空間。


不意に、あおいが俺のことを引き寄せた。


身構えしていなかった俺は引っ張られてあおいに近づく。


少し転びそうだった俺をあおいが受け止める。


あおいがしっかりと抱きつく形になる。


精一杯俺のことを抱きしめていた。


俺はそんなあおいを見て抱きしめ返す。


好きだよとは言葉で言ってくれないけれど、これはこれで、あおいなりの愛情表現なのかなとそんなことを感じた。


体に触れる、あおいの柔らかくて温かい感触。


その温かさを感じながら、強くなりすぎないように優しく、優しく抱きしめ返す。


ただ、何も考えないで抱きしめあった。


あおいをもう離さないように。


どこか遠い国に行ってしまわないように。


このまま、このまま、このままずっと、時間がとまってしまえばいい。


そんなことを考えながらあおいを抱きしめる。


しばらく抱きしめ続けて。


とある異変に気がつく。


あおいが腕の中で震えていた。


ふるふると肩を震わせ、何かつらそうにないていた。


何が起こったのかと思ってあおいから少し離れる。


あおいは大粒の涙を流して泣いていた。


目の前で大好きな人が泣いている。


俺にできることといえば、その涙を手でぬぐい、今はただ笑いかけてあげることだけ。


こんなとき、気の聴いた言葉でもかけれればいいけど、その言葉すぐに見つからない自分がはがゆかった。


涙を何回かふき取ってやると、あおいの震えが止まる。


そして少し落ち着いてから、あおいがゆっくりと目を閉じる。


俺は、直接言われては無いけれど、これはあおいからの。


キスして欲しい。


そういったメッセージなのではないか。


そう感じ取りながら、あおいの肩を抱き寄せ、ゆっくりと、ゆっくりと顔を近づけていく。

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